#12 Slowhand

その女性と出会ったのは、ジョルジオ・アルマーニが催したパーティにて。彼女はそのパーティで
雇われていたスタッフだったのですが、友人と、クラプトンへ一緒に写真を撮ってもらえないか
と頼みにきたとのこと。スタッフがパーティのゲストへ、この様な申し出をするのはルール違反
らしいのですが、彼女の屈託のない笑顔に、クラプトンは、「明日、三人で食事に行けるのなら
撮っても良い」と答えたそうです。彼女の名はメリア。現在のクラプトンの奥さんです。
30歳以上年の離れた二人ですが、三人の子供に恵まれています。自伝(08年発刊なので、
執筆は00年代半ば位?)でも述べられていますが、自身も今が一番充実していて幸せだ、
と語っています。
波乱万丈の人生だったクラプトンですが、人生の後年になって、ようやく
穏やかな幸せがやってきたようです。05年には、クリームの再結成で話題を巻き起こしました
(一説には、経済的に困ったジャック・ブルースの救済の為とも)。初めのうちこそ、
「やあジンジャー( ノ゚Д゚)! ヽ(・∀・ )ノ やあジャック!、懐かしいな、また宜しく頼むぜ」
の様な雰囲気だったそうなのですが、あっと言う間に雰囲気は悪くなったと語っています。
人間て、やっぱり合わない人どうしは何をどうしても合わないのでしょうね・・・(´Д`)
自身も苦しんだ、薬物・アルコール依存症患者の為の更生施設『クロスロード・センター』の
運営資金調達を目的とした、「クロスロード・ギター・フェスティバル」の定期的な開催、
盟友スティーヴ・ウィンウッドとの共演など、00年代後半から10年にかけても、精力的に
活動をしてきました。10年代に入ってからも、アルバムリリース、コンサートなどは
継続的に続けていたのですが、実は末梢神経障害など、体に不調が現れ始めたことを後に
告白し、70歳を前に、もう大規模なツアーなどはやらない(出来ない)、今後はできる
範囲での活動のみにする、といったセミリタイア宣言をしました。しかし16年4月には、
日本のみの公演を行いファンを喜ばせました。とんかつが食べたくなったのかもしれません。
(分からない人は ”クラプトン とんかつ” でググってください)

60年代半ば~後半にかけて、クラプトンと同様に、天才的白人ブルースギタリストとして
よく比較されていたミュージシャンにマイク・ブルームフィールドがいます。
アル・クーパーとの「Super Session」「フィルモアの奇蹟」や、ボブ・ディランの
アルバムでのプレイなど、クラプトンも憧れ、またお手本にした程であった人物。
イギリスのクラプトン、片やアメリカのブルームフィールドと、ロックのフィールドに
ブルースを浸透させた立役者と言って良いでしょう。しかし彼も御多分にもれず、
クラプトン同様、ドラッグとアルコールに溺れた人でもありました。そのため70年代に
入ってからは、目立った活動は少なくなり、80年代初めに、最後は駐車場の片隅で
野垂れ死の様な状態で亡くなっていたそうです。
クラプトンも下手をすれば、ブルームフィールドと同様の人生を歩んでいたかもしれません。
ほんとに紙一重のところで、それを回避出来ただけなのかもしれないです。
しかし一方で、私以前にも書きましたが、運命論など微塵にも信じない人間ですが、
ごく稀に、目に見えない何かが、人の人生を突き動かしたりしているのではないか、
と思うこともあります。クラプトンはその何かから、「お前はまだやることが沢山ある、
まだこっちにくるな  (( ( ̄  ̄*)」と拒否られ、一方、ブルームフィールドは召されて
しまったのかもしれません。

遠い昔に、十字路で悪魔に魂を売り渡す契約をしてしまった青年ですが、50年以上の
歳月を経て、悪魔からすら、「お前さん、昔は随分やんちゃもしたけれど、大勢の人間に
夢と感動を与えてきたようだな(悪魔のセリフじゃないな…)。それに免じて昔の
契約は反故にしてやるよ」・・・などと荒唐無稽な妄想をしてみたりしてしまいます。

最後にクラプトンの愛称 ”スローハンド” の由来について。出てくるフレーズは
非常に速いのに、指は(この場合は左手の運指の方、と私は解釈しています)とても
ゆっくりした動きに見える、ということから来ているそうです。つまり、無駄な
動きがなく、必要最小限の、合理的な指使いをしているので、速く弾いても、
せせこましく動いているようには見えず、スローハンドと呼ばれたのだと。
これはドラムなど、他の楽器、またスポーツなどでも同じ事が言えるのではないかと。
もっとも別説もあって、彼はチューニングにとても神経質で(女性関係にはルーズ
でしたが・・・)、いつまでも時間を掛けていたのでそう呼ばれた、とも言われています。

ブログを始める際、個々のミュージシャン・バンドにつき、記事は長くても3回まで、
と自分の中で一応ルール付けしたのですが、あっさりと破ってしまいました。
よく考えたら50年以上のキャリアをそんなに短くまとめて書くことなど土台無理かと。
これにてエリック・クラプトン編は一先ず終了です。次は・・・大体想像つきますかね…

 

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