デヴィッド・ガリバルディのプレイにおける特徴としてよく挙げられる点として、パラディドルを用いたリズムパターンと変則的なビートがあります。この二点は密接に結びついている、というよりも、ある種不可分のものであるとも言えます。パラディドルは変形の手順、右左を交互に叩くオルタネイトスティッキング(シングルストローク)ではなく、シングルとダブルストロークを組み合わせたものと理解すれば良いかと思います。代表的なものには右左右右左右左左などがあります。彼の教則ビデオ「Tower of Groove」でも、序盤でこれをそのまま用いたリズムパターンを実演しています。右手ハイハット・左手スネアで2・4拍のスネアにアクセントを付ける、口で言えば『チタチチタチタタチタチチタチタタ』という感じ。

私の英語力が拙いせいもあって、説明の内容は断言できませんが、彼が念を押して言っているのは次の二つだと思われます。①アクセントとノーアクセントをはっきり叩き分ける②スネアとハイハットの音色を近づける。強弱の差をきちんと付ける、これは基本的な事です。大きい音はより大きく、小さい音はより小さく、どの楽器においてもダイナミクスというものは大事なことです。次のスネアとハイハットの音色、これはスネアにおけるチューニングと密接なつながりがあります。ここでのスネアはノーアクセントのショットを指すと思われますが、前回も触れたゴーストノート、主にスネアで叩かれるものですが、ハイハットの『チッ』という音色に近いサウンドがこの場合は求められます。スティーヴ・ガッドも同じことを言っており、比較的高いピッチの軽いスネアショットとハイハット(手で叩くのと足で踏んで鳴らす場合の両方)の音色を出来るだけ近づけるようにしていると語っていた記憶があります。この二つのサウンドはブレンドし易く、それがフュージョン・ファンクの16ビート、及び勿論ジャズの4ビートにおいても、相似的な音色の連なりがグルーヴを生み出すとして必要とされているのでしょう。これは全てがフルショットを必要とされるヘヴィメタル・ハードロックでは機能しないものです。例外的な人もいますが、それらの音楽では『ズダーン』といったド迫力の重いスネアサウンドが求められます。これはどちらが良い悪いではなく、音楽的ニーズから来る音色の差です。
もう一点である変則的なビート。やや乱暴に言ってしまえば2・4拍のスネアによるバックビートが必ずしもないリズム、と言い替えても良いかと思います。1st・2ndアルバムでもその様なリズムは若干ありましたが、大々的に取り入れられたのは三作目から。前々回取り上げた「Oakland Stroke」や、上の「Soul Vaccination」にてそれは完成したと言えます。彼はこのアイデアをラテンミュージックのドラムから得たと語っています。ラテンも基本的には2・4拍にアクセントがあるアフタービートの音楽ですが、ロックの様に強烈なものではなく、またそのリズムはシンコペーション、裏拍を強調したものであるため、流動的とも言えるビートです。所謂ロックは ”タテノリ” 、ジャズ・ラテンは”ヨコノリ” と呼ばれるものです。この変則的ビートは先述のパラディドルを用いる事でより緻密かつグルーヴ感溢れるものになります。何よりガリバルディのプレイにおいて重要なのは、ただいたずらに複雑なリズムにしている訳では無いという点です。所謂手クセ・足クセで演奏するのではなく、タワー・オブ・パワーにおいてはホーンセクションのソリ(ホーン隊がユニゾンで吹くフレーズ)に合わせ、計算されたフレージングであるのです。よく聴くと、スネアのアクセントがホーンのソリと合わせていたり、また掛け合いの様になっていたりします。
タワー・オブ・パワーにおけるガリバルディのプレイを語る上で、欠かす事が出来ないのはベーシスト フランシス・ロッコ・プレスティアの存在です。所謂チョッパー(スラップ)などの派手なテクニックは使わず、基本的に指弾きで正確無比かつ怒涛の様な16ビートを敷き詰めるそのスタイルはある意味圧倒的であり、同時代におけるスラップベース生みの親であるラリー・グラハムとは対照的です。しかしベーシストからはグラハムと遜色ないほど、現在においても尊敬を受け続けているプレイヤーの一人だと言わています。名盤「Back to Oakland」の制作時には、ガリバルディやロッコ達のリズム隊はジャムセッションにかなりの時間を費やしたと語っており、「Oakland Stroke」などはその過程から生まれたそうです。5thアルバム「Urban Renewal」に収録されている上の「Only So Much Oil In The Ground」は、ロッコ、ガリバルディ、そしてホーン隊によるスピード感に溢れながら、なおかつ一糸乱れぬ16ビートプレイが堪能出来る快演です。
13年の暮れに「Hipper Than Hip」というライヴ盤が発売されます。74年にラジオ番組用として収録された音源が40年近くの時を経て作品となり日の目を見ました。ほぼ同時期に山下達郎さんとピーター・バラカンさんがラジオで取り上げ、バラカンさんは ”何故これが40年もお蔵入りに?” と、達郎さんは ”本当の音楽っていうのはこういうのを言うんですよ…” と語っていました。絶頂期のバンドを収めた見事過ぎるアルバムです。前々回も取り上げた名曲「Squib Cakes」も演奏されていますが、『ライヴでこれかよ!!!』と叫んでしまう様なクオリティーの名演です、いや、むしろライヴならではの名演、といった方が適切でしょうか。ちなみに米におけるドラム&パーカッション専門誌 モダンドラマーにおいて、「Back to Oakland」はドラマーが聴くべき最も重要なアルバムの一つと認定されている事を付記しておきます。
ガリバルディは70年代後半からバンドと距離を取り始め、80年には完全に一度袂を分かちます。理由はバンド内におけるドラッグの蔓延。これが彼には我慢出来なかったとの事です。良い子のみんなはマネしちゃダメだぞ!
☆(ゝω・)v ・・・・・・ しねえよ!(._+ )☆\(ー.ーメ)
☆(ゝω・)v ダメだよ、真似しちゃ!〇エー〇た … やかましい!( °∀ °c彡))Д´)・・・・・
マネはダメヨ!☆(ゝω・)v 三〇〇子さんの次男 … いい加減にしろ!ヽ( ・∀・)ノ┌┛Σ(ノ;`Д´)ノ
デヴィッド・ガリバルディ特集はまだ続きます。

