#233 Sweet Painted Lady

『個室付浴場業』:公衆浴場法による浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に
接触する役務を提供する。
偶然に接客従事者と客が双方の意思に基づく自由恋愛に発展する場合もあるが、法律的には何ら問題はない。

エルトン・ジョンが73年に発表した二枚組アルバム「Goodbye Yellow Brick Road」。
当初は二枚組の予定ではなかったものが、あまりにも次から次と曲が出来てしまい、
そのどれもが素晴らしい内容であった為にやむなくそうした、と言われています。
もっとも以前どこかで書きましたが、DJMレーベルとの間で年2枚のペースで
アルバムを創るという契約となっていたのでそれを消化する為、との説もあります。
いずれにしろこの時期におけるエルトンは泉の様にアイデアが溢れ出ていた、
という事に間違いはありません。

B面最後の方の2曲も秀逸です。「Jamaica Jerk-Off」はタイトル通りレゲエ・スカ調の楽曲。
” Jerk-Off ” はスラングであまりお行儀の良い言葉ではない様ですが、色んなものに縛られずに
ハメを外して、くらいの意味だそうで。
「I’ve Seen That Movie Too」は失恋の歌で、それもポイ捨てされた男の心情を表しているもの。
所詮アンタの恋愛映画中のどうでもよい出演者の一人なんだろ?という男の未練・・・

今回のテーマである「Sweet Painted Lady」はC-①、つまり二枚組二枚目のトップを飾るナンバー。
それが売春婦とその客を歌ったもの。この辺り、バーニーの皮肉屋的性質も勿論ですが、
それを二枚目とは言え、オープニングナンバーに据えるエルトンの ” どうかしている ”
具合がとても良いです。

Oh sweet painted lady (Oh 美しく彩られた女性)
Seems it’s always been the same (やる事はいつも一緒)
Getting paid for being laid (寝て金をもらう)
Guess that’s the name of the game (まさにそれだけの事さ)

ここまで来るといっそ清々しいです。この手の楽曲ではコール・ポーター作「Love For Sale」が
最も有名でしょうが、私はその有名スタンダードナンバーに勝るとも劣らない楽曲だと思っています。
不倫ものならギャンブル&ハフ作ビリー・ポールの名唱による「Me and Mrs. Jones」で、
売春ものなら「Love For Sale」もしくは本曲が決定版かと。もっとも ” 売春もの ” という
ジャンルがあるかどうかは知りませんが・・・・・

エルトン&バーニーに関しては殆どが所謂 ” 詩先 ” 、つまりバーニー・トーピンが創った詩に
対してエルトン・ジョンが曲を付けるという作業工程であったと言われています。
本曲もそうであったならば、これほどまでに詩の世界観を的確に音で表現し、さらに独自の
エルトンワールドを展開している、これほど詩と楽曲が互いにミックスアップされている音楽は、
ポップミュージック全体を見渡してもなかなか無いのではないかと私は考えています。
上の二つの動画は76年のものと99年シカゴにおけるもの。後者は映像が無く音質も決して
良くはないこそすれエルトンの歌が秀逸。最も勢いがあったのが70年代半ばである事は
衆目の一致する所ですが、00年頃のエルトンも絶頂期とはまた違った円熟味が醸し出されていて、
要はどちらもイイという事です。
寂寥感や虚無感といった単語で簡単に片づけられる安直なものではなく、ましてや背徳感などとは
全く一線を画する精神性が本曲には漂っています。
買春・売春の是非をここでとやかく言うつもりはさらさらありません。ここでは買う男性も
売る女性もただただそこに ” いる ” 、ただそれだけなのです。
そしてエルトンもバーニーもそこに深いメッセージ性を込めようなどとはさらさら思っておらず、
両人とも感覚でこの様な名曲を創ってしまったのです。
私は時によっては、本曲がこの大傑作アルバムにおけるベストトラックではないかと思う時があります
(聴くときによって結構変わるんですけどね・・・・・)。
ちなみにエンディングでどうしてカモメの鳴き声が入るのかは結局わからず終いでした。
カモメが何かの隠喩なのか?と調べてもみましたが … ???

ちなみに冒頭に掲げた文章は、今回のブログにおける内容とは一切関係の無いものです。
違法性など微塵もありません。間違いありません。お上がそう言っているんですから。
また、この国には「ぱちんこ」と称する ” 遊戯 ” があり、出玉と交換した特殊景品を、” たまたま ” 
その遊戯場のちかくに存在する、遊技場運営者とは ” 全く関係の無い古物商 ” がその特殊景品を
買い取ってくれるそうです。勿論法的に一切問題はありません。
マ・チ・ガ・イ・ア・リ・マ・セ・ン!
 お上がそう言っ… (コンコン)おや?誰か来

#232 Grey Seal

『鰭脚類』という単語をご存知でしょうか。一般の人にはあまり馴染みのない言葉でしょう。
私も今さっき知りました・・・・・・・・オマエもかよ … (*´∀`;)
海生哺乳類もしくは海獣といった方がわかりやすいかもしれません。
アザラシ・アシカ・オットセイ・セイウチなどの分類だそうです。
ポピュラーミュージックにおいてこれらの動物がタイトルや歌詞に出てくる最も有名なものは
何と言ってもビートルズ「アイ・アム・ザ・ウォルラス」(67年)です。
レノン&マッカートニー名義の作となっていますが、ジョン・レノンが創った曲である事は
ビートルズファンはもとより洋楽に精通している方なら周知の事実。
所謂 ” サイケデリックソング ” として知られるこの曲は、ナンセンスな歌詞、ジョージ・マーティンによる
弦と管のアレンジ、そしてサウンドコラージュやその一度聴いたら耳にこびりついて離れないジョンの
ヴォーカルをはじめとした、当時としては最新のレコーディング技術を用いて創られたサウンドなど、
あまりにも多くの要素が詰め込まれています。
この曲について言及し始めるときりが無いので止めますが、ここでの「
Walrus(セイウチ)」とは
『不思議の国のアリス』の中の一編が元になっているとの事。
これらの海獣は、可愛らしさ、ユーモラスさ、ともすれば不気味さをも感じさせ、数多の動物群においても
独特の存在感がある様です。

エルトン・ジョンも海獣がタイトルになっている曲を創っています。「Goodbye Yellow Brick Road」
(73年)に収録されている「Grey Seal」がそれです。ネコ目アシカ亜目アザラシ科ハイイロアザラシ属に属するハイイロアザラシを指すそうで(長いよ … (*´∀`;))、北大西洋の東西両側に棲息します。
動物にまつわるブログでは無いのでこの辺にしときますが、歌詞の内容は主人公(これは人間)が
管理社会・学校教育について抱いている疑問をハイイロアザラシへ問いかけるというものですが、
書いたバーニー・トーピン本人も ” 意味はわからない ” と言っている程なので、それについて
深く考察するのはあまり賢明でないでしょう。おそらく語感や韻などから創られたのでは?
バーニーはこういう創り方をよくしたそうで、「Take Me to the Pilot」(70年)も同様なのは
既述の事(#210ご参照)。
歌詞はひとまず置いといて、楽曲はとにかくゴキゲンそのもの。前回も書いた事ですけれども、
本アルバムが凄いのは隅々までクオリティーの高い楽曲で埋め尽くされているという点です。
” And tell me, grey seal ” のパートから始まるバンドのドライブ感はいまだにシビレます。
やはりナイジェル・オルソン達、エルトンバンドが居てこそ、この大傑作は生まれたのです。

ちなみに本曲は2ndアルバム時に一度録音されていました。オリジナルには収録されませんでしたが、
後年にはボーナストラックとして聴くことが出来る様になります。
これを聴くとエルトンのイメージは当初から73年版の方であったのだろうな、と推察出来ます。

ここでライヴ版を二つ。74年ロンドン、ハマースミス・オデオンと14年デンバー、ペプシ・センター
におけるもの。
ハマースミス・オデオンのそれは映像・音こそ悪いのですが、やはり絶頂期の勢いと臨場感で
圧倒的にこちらが勝ります。勿論すべての楽曲でそれが当てはまる訳ではなく、年齢を積み重ねて
エルトンの中で ” こなれてきて ” より味わい深くなっていった楽曲もあります。

ちなみに枕でジョン・レノンを引き合いに出したのは当然狙っての事です。
毎年この日もしくはこの頃は何かしらジョンに絡めた話を書いています。
最後は勿論二人の競演で。言わずと知れたマジソンスクエアガーデンにおける
「I Saw Her Standing There」(74年)。
私も正直ジョンを聴くのは年に一日、この日くらいなのですが、今日だけは一日中ジョンを流しながら …