#41 Super Session

前回のサンタナ編で少し触れましたが、アル・クーパーとマイク・ブルームフィールドを中心としたライヴ盤「The Live Adventure of Mike Bloomfield and Al Kooper(フィルモアの奇蹟)」の発端となったのが、68年5月(リリースは7月)に行われた、その名の通りセッション・ブームの走りとなった今回のテーマ「Super Session(スーパー・セッション)」です。
多分どなたも覚えておられないと思いますが…・(ノД`;)・゚・、
#31の記事からロック史においてエポックメイキングとなった、それらの影響を及ぼしたミュージシャン達を取り上げてきました。今回はそのテーマに沿っているかどうかは微妙ですが、その音楽の素晴らしさに免じてご容赦を。

マイク・ブルームフィールドは43年シカゴ生まれ。シカゴブルースの本場で育ったという事が彼の音楽性に大きく寄与しているのは言うまでもない事です。白人でありながら黒人のブルースマンとジャムセッションを重ねることで、その技術・感性ともに磨かれて行きました。ポール・バターフィールド・バンドへの加入が彼のキャリアの始まりであり、その直後におけるボブ・ディランの名盤「追憶のハイウェイ61」(65年)のレコーディングへの参加、及びライブにてバックバンドを務めたことが彼の名を世へ知らしめるきっかけとなります。バターフィールド・バンド、エレクトリック・フラッグ、モビー・グレープなどで活動し、68年、先述したディランのバックバンドを共に務めたアル・クーパーからセッションアルバム制作の話を持ち掛けられます。これこそがブルースロックの金字塔となる「スーパー・セッション」の誕生へと繋がります。

 

 

 


オープニングナンバー「Albert’s Shuffle」の出だしのフレーズでまずノックアウトされます。私が知る得る限り白人ミュージシャンによる、これ程までにブルースフィーリングに満ち溢れた名演は本曲を含めごくわずかしかありません。ブルームフィールドは凄く速く弾いたりするプレイスタイルではありませんが(多分やれば出来るのだけれどあえてやらなかったのではないかと勝手に思っています)、その”歌わせ方”は天下一品です。以前エリック・クラプトン編の最後(#12)でも少し触れましたが、イギリスのクラプトン、アメリカのブルームフィールドと、天才的白人ブルースギタリストとして良く比較されたこの二人。私見ですが、ブルースフィーリングに関してはブルームフィールドの方が上だったのではないかと思っています。これがシカゴで生まれ育ったという事がイギリス生まれのクラプトンよりアドバンテージとして働いたのか、はたまたそんな事は関係ない天賦の才であるのか、考察すると興味が尽きません。答えは永遠に出ないでしょうが・・・

フィーリングと言うと曖昧なのでもう少し具体的に言えば、○所謂”コブシ”の効かせ方(ビブラートやチョーキングのかけ方)○ピッキングによるヴォリュームのコントロールは勿論の事、そのニュアンス(ピックを弦にどの様に当てるのか等)○左手のフィンガリング(滑らかに運指するのか、あえてスタッカート気味にぶつ切り的な音にするのか、等々)”フィーリング”、言い換えればギター演奏による”歌心”というものを具体的に列挙すれば上の様な要素ではないでしょうか、勿論これ以外のテクニックもありますし、あとは何よりプレイヤーの”ハート”と”ソウル”であることは言わずもがなです。ちなみに念の為に記しておきますと、ブルームフィールドの演奏はA面のみ、レコーディング2日目は参加せず(バックレたそうです…)、急遽スティーヴン・スティルスが代役として演奏し、それらはB面に収録される事となりました。勿論スティルスのプレイも素晴らしいものです。「フィルモアの奇蹟」3日目にダウンしてしまい(不眠症による)、サンタナが参加することになったのは前回の記事で触れましたが、ブルームフィールドという人はメンタルが弱い人だったらしく、それがドラッグへの逃避の原因の一つだったようです。この辺りはクラプトンと相通じるものがあります。

今回はマイク・ブルームフィールド編前編として、2曲をご紹介して締めたいと思います。次回は勿論「フィルモアの奇蹟」及びそれ以降についてです。コロムビアレコードのオーディションテープより、後年になってリリースされた音源から「 I’m A Country Boy」。若干二十歳のブルームフィールドによる演奏です。そのブルースフィーリングは既に卓越されたものです。

もう一曲は先述の「Albert’s Shuffle」。本作の、というよりブルームフィールドのキャリアにおけるベストプレイだと私は思っています。

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