#76 Dirty Work

前回はミック・ジャガーのソロアルバムについてでしたので、このままストーンズを取り上げようかと思いましたが、ご存知の通りローリング・ストーンズという約55年に渡る現役最古参であるバンドについては、とても2~3回などでは書き切る事が不可能ですので、今回は私がリアルタイムで聴いていた80年代の作品に絞って書いてみたいと思います。

 

 

 


初めて聴いたスタジオアルバムは「Undercover」(83年)だったと記憶しています。とにかくローリング・ストーンズという、ビートルズと並ぶ有名なバンドなのだから聴いてみようと、貸レコード屋(当時は”レンタルレコード”などというこじゃれた呼び名ではありませんでした)から借りてきて聴きました。感想は『?』といったものだったと思います。洋楽を聴き始めたばかりで理解出来る出来ないもあったもんじゃなかったのですが、思い描いていたストーンズ像とは異なるように感じたのは覚えています。

最初に聴くストーンズの作品としてはあまり適当ではなかったかもしれません。もっとも当時は右も左も分からなかったのでしょうがありませんが。本作はヒップホップ等時代の流行を大胆に取り入れた、ストーンズとしては異色の作品とよく評されます。もっともストーンズが流行りを全く取り入れてこなかったかというと決してそうでもなかった訳で、ディスコが流行れば「ミス・ユー」(78年)の様な曲を作ったりしたのですが、本作はそれまでの古き良きストーンズを好むリスナー達からは拒否反応がひと際強かったようです。個人的には好んで聴くことは現在では確かにありませんが、さほど毛嫌いするような内容でもないと思います。2ndシングルであるA-②「She Was Hot」など彼ららしいR&Rも健在であったのに、それ以外で拒絶されてしまったのかも。

86年、アルバム「Dirty Work」をリリース。当時、日本の評論家達は高い評価をしていたと記憶しています。前作では多少試行錯誤が過ぎてしまったかもしれないが、本作では”これぞストーンズ”という内容に回帰したと。しかし現在ウィキなどを見てみると前作同様にあまり評価の芳しくないアルバムとされているようです。これに関しては珍しく私も当時の日本の評論家達と同意見です。本作リリース時は既に60~70年代のストーンズも一通り聴いて理解していたつもりでした。まさにこれこそストーンズ、楽器の音色などこそ80年代風ですが、彼らのロックスピリットは変わっていないと感じました。かように人の評価などは古今東西で変わるもの、あまりあてにしない方が良いというのが私の持論です。

彼ららしくない曲調といえばレゲエの「Too Rude」、ファンク調の「Back to Zero」くらいでしょうか。また1stシングル「Harlem Shuffle」がカヴァーだったというのも彼らとしては異例ではありましたが、基本的にはブルース・R&Bを根っこに持つ,彼ららしいタイトなR&Rに溢れた好アルバムだと思います。この時期のミックとキースの不仲もよく言われることですが、バンドの人間関係の良し悪しが必ずしも作品のクオリティーに反映されるものでもないでしょう。ビートルズの「アビー・ロード」(#4ご参照)の様な例も決して少なくありません。もっともこの二人、仲が良かった時期の方が少なかったのでは・・・

時代は前後しますが82年リリースのライヴ盤「Still Life」。前年の全米ツアーを収録したものですが、個人的にはストーンズの中で最もよく聴いたアルバムです。往年のヒット曲とオールディーズのカヴァーが程よくミックスされた選曲で、もし『ローリング・ストーンズを聴いてみたいんだけど,何にしたらイイ?』と、尋ねられたならば私は先ず本作を勧めます。アメリカツアーにおいて、コンサートのオープニングテーマが「A列車で行こう」というのが少し安直な気もしますがこれもご愛敬。余談ですけど「A列車で行こう」を初めて耳にしたのは本作においてだったかもしれません。

有名な幻に終わった73年の来日公演以降、ストーンズは永いこと”日本は遠いから行かない”などと我が国に対して冷たい態度を貫いていました。入国拒否されたという恨みもあったのかもしれませんが、80年代はこのまま永遠に来日しないのではないかと思われていたくらいです。しかし90年に初来日を果たし、その後も計6回の来日公演を行っているので、日本も毛嫌いされることはなくなったようです。やっぱりお金の力って偉大ですね・・・・・
ちがうがな!!! (#゚Д゚)!!!!

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