#77 Let’s Dance

#74のミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイによるデュエットから、ミックのソロ、そして
80年代のストーンズへとテーマは変遷しました。なので安直ですが、今回はデヴィッド・ボウイの話を。
ボウイの音楽的黄金期と言えば、やはり60年代末から70年代にかけてというのが大方の評価でしょう。
私もそれには異論はありませんが、そこから取り上げると回数もかさむ上に、一応年初から80年代を
テーマとしていますので(誰も,覚えてません…よね………。゜:(つд⊂):゜。)、前回のストーンズ同様に
80年代のボウイに限って取り上げます。

 

 

 


デヴィッド・ボウイ最大のヒットにして代表作「Let’s Dance」(83年)。ボウイフリークは
彼の最高傑作とは「ジギー・スターダスト」だ!、いや「アラジン・セイン」だ!、と
喧喧囂囂の議論になるのでしょうが、最も売れて世界中にボウイの名を広めたという意味では
代表作と言って差し支えないでしょう。私もボウイの作品において本作が白眉とは思いませんが、
リアルタイムで聴いた最初のアルバムなのである程度の思い入れはあります。

https://youtu.be/1hDbpF4Mvkw
プロデュースはナイル・ロジャース。ここ数回の記事で何度もその名が出てきていますが、それだけ
80年代は彼が作るサウンドが持て囃された、そして皆がそれを目指していたという事。本当に当時は
煌びやかでダンサンブルなサウンドならナイル、AOR・ポップスならデイヴィッド・フォスター、
と、ポップス界は数人のプロデューサーだけで回していたのではないかと思うくらい(それはいくら
なんでも大げさか・・・)数々のレコードでその名を目にする人でした。
本作からもう一曲、盟友イギー・ポップとの共作「China Girl」。

84年、アルバム「Tonight」をリリース。前作に続いて全米でミリオンセラーとなりました。意外な事に、
米でプラチナディスクを獲得したのは「Let’s Dance」及び「Tonight」の二作のみとなっています。
しかしボウイの総売上枚数は1憶数千万枚と言われており、これは北米以外、ヨーロッパ各国やその他の
地域で幅広く支持されたボウイであったからこそ。アメリカ市場だけが全てではないということを
改めて教えてくれます。本作からの1stシングル「Blue Jean」。

https://youtu.be/LTYvjrM6djo
本作も前作同様にポップな音楽性となっており、コアなボウイファンや玄人筋からは決して良い評価を
受けませんでした。それに関しては人それぞれなのでとやかく言う筋合いではありませんが、
一つ言えるのは、デヴィッド・ボウイというミュージシャンはその音楽性に関してかなりの変遷を
経てきたという事。プログレ、サイケ、コンセプチュアルかつ演劇的なロック、アメリカンソウル、
テクノ、ヨーロピアンミュージック、etc… 。何をもってボウイらしい音楽かと述べる事は、
少なくとも表面的な音楽ジャンルのみをもっては不可能であり、それは根底に流れる”ボウイイズム”の
様なものによって語られるべきだと私は思っています。

https://youtu.be/OOaqDEjxQAU
先述した”ボウイイズム”が健在であり、また「レッツ・ダンス」以降の80年代におけるボウイの
楽曲の中で私がベストトラックと思うのが上記の「Loving the Alien」。往年のボウイらしい
良い意味での仰々しさをまといながら、80’sサウンドによって彩られた快作。私見ですが
”ボウイイズム”は80年代においても全く失われていなかったと思います。もっとも当時は
そこまで考えて聴いていませんでしたが・・・。ちなみに本曲での”Alien”は異星人ではなく、
『異邦人・よそ者』の意(多分に宗教的な意味においての)。かの有名映画のせいで、
エイリアン=宇宙人、と刷り込まれてしまっていますね … 👽👽👽👽👽 (((;゚Д;゚;)))・・・
本作には他にも、ティナ・ターナーとのデュエットで話題となったタイトル曲、ビーチ・ボーイズの
カヴァー「ゴッド・オンリー・ノウズ」など、聴き所は豊富です。

誤解を恐れずあえて言うと、ミュージシャンとしてのデヴィッド・ボウイは捉えどころのない
鵺(ぬえ)の様な存在だと私は思っています。歌唱技術が超一流かと問われれば、失礼を承知で言うと
決してそうではなく。突出したメロディーメーカーかと言われれば、それも否。
しかしロック・ポップス界を見渡せば、これ程までにそれを聴いて、一発で”その人”とインパクトを
もって認識されるミュージシャンもそう多くはないと思います。音を聴いているだけでボウイが
様々な表情で、あの”独特な”振り付けで歌っているのが目に浮かぶのです。ステージパフォーマンス、
役者としての活動、それら諸々を含めてこその『デヴィッド・ボウイ』だと私は思っています。
このようなミュージシャンは他にはなかなかいなかったのではないでしょうか。

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