#105 Chaka

ルーファス後期において、チャカ・カーンがソロ活動を並行して行っていたのは前回述べた通り
ですけれども、今回はチャカのソロワークに焦点を当てて書いていきます。

 

 

 


シングル「I’m Every Woman」と共に、1stソロアルバムが大ヒットした事も前の回で既述の所ですが、
本作「Chaka」は、ソウル・R&Bシーンに輝く名盤です。

その音楽性を言い表すならば、コンテンポラリーR&Bとでも呼ぶべきものでしょうか。二作目以降は
ダンサンブルなファンクミュージック色、手っ取り早く言えばクインシー・ジョーンズ&マイケル・
ジャクソンの様なカラーが強まっていきましたが、本作は正統派ソウル・R&Bのテイストを残しながら、
フュージョン、AOR、勿論当時一世を風靡していたディスコをうまい具合にブレンドした、78年時点に
おけるコンテンポラリーソウル・R&Bというものを
見事に体現した一枚です。
上の「Love Has Fallen on Me」は、リチャード・ティーのゴスペルフィーリングに溢れたピアノが
あまりにも素晴らしいナンバー(こういったピアノを弾かせたら彼の右に出るプレイヤーはいなかった
のではないでしょうか)。個人的には本作のベストトラックです。

お次の「Roll Me Through the Rushes」。プロデューサーはアトランティックソウルの立役者
アリフ・マーディンであるのですが、まるでフィラデルフィアソウルの様なスタイルを持った楽曲。
前曲においても同様であるコーラスとの見事な掛け合い、また中盤のチャカによるテンションの上がり方は
本当に素晴らしい。中身が良ければジャンル分けなどどうでも良いのです。

ジョージ・ベンソンとのデュエット曲「We Got the Love」。楽曲もベンソン作で、「ブリージン」に
収録されていても違和感の無い様なナンバー。根っからのジャズファンの中にはこの当時のベンソンを
嫌う人もいますが、本曲のような軽快感・爽快感は、70年代のクロスオーヴァー(フュージョン)ブームを
体験した人にはたまらないものでしょう。ちなみに本曲のみベースはギタリストのフィル・アップチャーチ。彼は「ブリージン」にてリズムギターとベースも担当しているので、それが本曲における起用の所以かと。

スティービー・ワンダーのこの曲もカヴァーしています。67年全米2位の大ヒット曲「I Was Made to Love Her(愛するあの娘に)」。チャカは ”Her” を ”Him” に変えて歌っています。スティーヴ・
フェローンのタイトなドラミングがあまりにも素晴らしい。

80年、2ndアルバム「Naughty」をリリース。基本的に前作の音楽性を踏襲した作品ですが、前述の通り、
よりダンサンブルかつポップな仕上がりとなっています。ですがクオリティーの高さは秀逸で、昔ながらの
ソウル・R&Bというものに拘らなければ前作同様の傑作と言って過言ではないと思います。
本作より「So Naughty」と「Move Me No Mountain」。「Move Me ~」はディオンヌ・ワーウィックがワーナーに在籍していた75年のアルバムに収められていた一曲のカヴァー。ディオンヌの中では決して
売れたアルバムではありませんでしたが、チャカ本人か、それともアリフ・マーディンによる選曲であるのか
は判りませんが、素晴らしいセレクションであり、先輩に敬意を表している所も立派。ちなみに本作では
ソロデビュー前のホイットニー・ヒューストンがコーラスで参加しています。前回も触れた所の
「I’m Every Woman」のホイットニーによるカヴァーはこの辺りから繋がっているのかと。
81年、3枚目のアルバム「What Cha’ Gonna Do for Me」を発表。よりファンキーでエレクトリックな
方向性となっています。リチャード・ティーやブレッカー兄弟といったニューヨーク勢、アヴェレージ・
ホワイト・バンドのヘイミッシュ・スチュアート、スティーヴ・フェローン達イギリス勢は引き続き参加。
更にジャズ界からハービー・ハンコック、ルー・ソロフ、そしてなんと超大御所ディジー・ガレスピーも。
自身によるスタンダードナンバー「A Night in Tunisia(チュニジアの夜)」にて演奏しています。

本作は1st同様にゴールドディスクを獲得。タイトル曲はシングルカットされR&BチャートでNo.1ヒットと
なります。
まだまだチャカの活躍は続くのですが、その辺りはまた次回にて。

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