#169 10cc

前回までジェネシス関係を取り上げ続けてきましたが、彼らはイギリスでなくては
産まれなかったバンドだと言えます。カラッとしたアメリカの風土に比べて
(勿論米にも ” 闇 ” はあるのですが)、陰影に富んだ英国独特の国民性・精神性といったものに
起因しているのだと思われます。
英国独特のバンドと私が思うものの筆頭としてジェネシスと並ぶ人達がいます。決して音楽性が
似ているという訳ではないのですが、その ” 妙ちくりん ” な音楽性は『やっぱイギリスだな~』と
思わざるを得ません。そう、それが今回のテーマである10ccです。

10ccも早く取り上げたいと思っていたバンドなのですがなかなかキッカケがなく、
またジェネシスツリーの後は何を書こうかと思っていた所へ、そうだ!彼らにはこんな共通点が
あるじゃないか!と、何の違和感も無くとてもスムーズに話が繋がった訳であります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・” ムリヤリ ” って言葉知ってる? (´∀` )

10ccと言えば「アイム・ノット・イン・ラヴ」、という程に圧倒的な本曲による知名度のせいで、
バンドの実体的姿が正しく理解されていない様な気がしています。「アイム・ノット・イン・ラヴ」は
70年代を、というよりポップミュージックを代表する名曲の一つに間違いありません。
勿論私も本曲で彼らを知ったクチですが、むしろこの曲は彼らの中では異端な部類に入る方だと
知ったのはもう少し後の事でした。
上の動画は多分10ccにおいて ” 三番目くらい 
” に知られる曲であろう「Donna」(72年)。
洋楽を多少でもかじった人ならば当然お分かりでしょうが、ビートルズ「オー!ダーリン」のパク ……
リスペクト・オマージュです。
英国人は洒落を解するんでしょう。デビューシングルである本曲はいきなりの全英2位を記録します。

上は初の全英No.1ヒットとなった「Rubber Bullets」(73年)。「Donna」と同様に
バンド名を冠した1stアルバムからシングルカットされました。
ストレートなロックンロールナンバーなのですがやはり彼らが演るとパロディっぽくなります。
そう。このバンドの重要な要素としてコミック・パロディがあるのです。
「アイム・ノット・イン・ラヴ」を聴いている限りはとてもそんなバンドには思えないのですが・・・
それにしても上の映像は当然の事ながら口パク・当て振りなのですが、せめてもう少しくらいは
ちゃんと演奏してる様にする気概くらいはなかったのでしょうか・・・

しかしコミック・パロディといっても、半端者のつくったのはとても聞けたもんじゃないのですが、
きちんとした素養・技術がある人間が大真面目にやると大いに聴きごたえのある作品となります。
勿論10ccは後者の方です。
2ndアルバム「Sheet Music」(74年)は前作より更に ” コユイ ” 内容となったアルバム。
R&R、ポップス、フォークロア、ハードロック、クロスオーヴァー、ラテン、アヴァンギャルド etc …..
これらを全て良い意味で  ”斜に構えながら ” 取り入れ、いたって真剣に創った作品です。
上はA-②「The Worst Band in the World」。シャレなのか自虐なのか、しかし演奏・アレンジともに
しっかりとしているのでとてもワーストワンなどとは言えない曲です。

「Hotel」はのっけからサイケ感満載のナンバー。と思えばリズミックな曲調へ一転し、またサイケな
パートを再び含むという変態的な楽曲。
本曲はロル・クレームとケヴィン・ゴドレイによるもの。私の世代では圧倒的に映像作家チーム
「ゴドレイ&クレーム」としてなじみがあるのですが、彼らが10ccのメンバーであったというのは
ゴドレイ&クレームを認知した時点よりも後の事でした。
彼らは四人全員が作曲・アレンジが出来、しかもヴォーカルをこなせるという稀有なバンドでした。
なので一人が強力なリーダーシップによりバンドを牽引していくといったタイプとは真逆の、
一人親方が群れた様な集団でした。であるからして当然の如く、バンド内は調和がとれた状態とは
曲がりなりにも言えなかったそうです。
有名な話しですが、グレアム・グールドマンとエリック・スチュワート組と、ロル&ケヴィン組で
よく対立したと言われています。そして ” ヘンな ” 曲はロル&ケヴィンによるものが多かった様です。

https://youtu.be/wUeRghINsGE
グレアム&エリック組もヘンな曲は創っています。上の「Baron Samedi」はライヴですが、
オリジナルでも同様に ” サンタナかよ!” とツッコミたくなる曲ですけれども、サンタナ風味の10ccと
でも呼ぶべき ” おかしな ” 仕上がりです(ホメ言葉ですよ)。それは演奏力と構成力が
しっかりしている為であることは言うまでもありません。
ちなみにロルが3:27からギターを交換する場面が映っていますが、弦でも切れたのかと思いきや、
ロルとケヴィンが開発したギターアタッチメントである『ギズモ』を装着したギターであり、
どうやら次曲の冒頭でギズモを必要としていた為に、本曲の後半で持ち替える必要があったようです。
ギズモは興味がある人は自身でググってください。結局はうまくいかなかったエフェクターの様ですが …

1stと2ndこそ10ccの真骨頂とするファンが多いようです。実際そうだと思います。
「アイム・ノット・イン・ラヴ」で興味を持ってベスト盤などを聴いてみたら全くの期待外れだっと
言う人が多いのは、例外の方から入門してしまった為でしょう。しかしやはり
「アイム・ノット・イン・ラヴ」もよく聴けば10ccフレーバーがてんこ盛りなんですけどね。

ちなみにバンド名の由来は、男性が一回に放出する〇ー〇ンの量だとかなんだとか … 嘘か真かは
わかりかねます。これも興味があったならご自身でググれカス・・・・・・・・・・・
次回へ続く。

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