#211 Tumbleweed Connection

エルトン・ジョンの三枚目となるアルバム「Tumbleweed Connection」は70年10月30日に
リリースされました。時系列がややこしいのですが、アメリカツアーの成功を受けてシングルカット
された「Your Song」が10月26日です。その数週間後には英米共にヒットチャートの上位に昇ります。
前回述べた通り、米ツアーが8月から始まったのですから、いくら急いでもそれから創ったのでは
間に合いません。当然すでにレコーディングはなされていたものでした。ベーシックトラックの
多くは2ndと同時に録られており、つまりこれはエルトンのストックがどれだけ膨大にあったか、
という事を物語っています。上はオープニング曲である「Ballad of a Well-Known Gun」。

2ndアルバムの成功後、エルトンの内向的な性格に徐々に変化が見られるようになりました。
ステージにおいて特にそれが顕著であり、そのステージ衣装はどんどん派手になっていきました。
シルクハット、ベルベットのマント、星をちりばめたシルバーのロングブーツを身に着け、
パフォーマンスと言えば、ピアノの椅子をけ飛ばす、ジェリー・リー・ルイス張りに鍵盤の上で
逆立ち
など。過激なものになっていきました。
本国DJMレーベルのスタッフは送られてくるその様子に驚きましたが、ただ一人、宣伝部長だけは
エルトンの中に潜むエンターテイナーとしての素質を予見していたらしく、特に驚かなかったそうです。

エルトンは十代の頃にジェリー・リー・ルイスやリトル・リチャードといったロックンローラーに
憧れていました。ピアノを叩きつける様に弾きながらシャウトするスタイルは彼らへのリスペクトであり、
言わば当然のことだったのでしょう。

オープニングナンバーを聴けばわかる通り、本作はカントリー色が強いです。アメリカでの成功を受けて
米マーケットを意識した結果だとする向きがあるのですが、先述した通りアメリカツアーの前に
録られたものであるからして、それはちょっと考えにくいでしょう。
以前に書きましたが、ホテルのラウンジピアニストをしていた頃にもよくカントリー&ウェスタンを
演奏していたそうなので、エルトンの嗜好に基づくものだったのではないでしょうか。

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