ライブエイドで一番忙しかった人は?と問われたならば間違いなくこの人でしょう。
言わずと知れたフィル・コリンズです。ウェンブリーでスティングと共演すると共に自身もソロで演奏、そののち超音速旅客機コンコルドでフィラデルフィアへ飛び、エリック・クラプトンのバックにてドラムを叩き、これまた自身のステージも務めた後にあの ” 悪名高い ” レッド・ツェッペリン再結成のプレゼンター役を果たした後これまたそのドラムも担当する。この時期の彼は仕事をしていないと死んでしまう回遊魚みたいな存在でした。ワーカホリックと言えばそれまでなんでしょうが、そのツケが来たのか後年身体の不調も相まって老年性のうつに悩まされるようになってしまったのも皮肉な話です。
本ライブにおけるツェッペリン再結成時のクオリティーの低さに関してフィルの責任とする向きがあるようですが、どう考えても先ずはロバート・プラントの歌のひどさです。80年に解散してからプラントはソロで活動していましたから歌っていない訳ではないはずなので、単に元キーで歌うのが難しくなっただけです。ジミー・ペイジは弾いてなかったらしいので当然と言えば当然の事 … 83年のアームズコンサートでもそのギタープレイが ” 堪能 ” 出来ます …
「胸いっぱいの愛を」と「天国への階段」は確かにリハ不足だな … とうかがえますが(それもフィルの責任かは不明)、「ロックンロール」に関しては全く何の問題もありません。ペイジとプラントはフィルの責任だ、とするコメントを後日残しているようですが、往生際が悪いとはこの事です …
ちなみにライブエイド公式チャンネルにてその動画が上がっていないのは二人がそれを許可しないから、というのは有名な話ですが、当時の放送を録画したものがアップされてますのでコワイもの(オモシロイもの?)観たさで視聴するのもまたご一興。
上はフィルによる単独パフォーマンスである前年の大ヒット曲「見つめて欲しい」ですが、ウェンブリーでは1:05辺りでピアノをミスっています。苦笑いするフィルがお茶目ですが、その後の歌唱は見事です。その下がフィラデルフィアでのプレイ。こちらは勿論ミスなくプレイしています。どちらも素晴らしいのは彼が素晴らしいシンガーでありエンターテイナーだからです。このあたりがペイジやプラントと違う所です。
コンサートの運営において直前までてんやわんやであったというのは前回述べましたが、その混乱ぶりを示すエピソードを一つ。出演者達はヘリにてウェンブリースタジアムへ移動させたのですが、その離発着場を確保しておらず直前になって大慌てしたらしいです。近くにあったクリケット場が唯一離発着出来る場所だったのですが、あいにくその日はクリケット界で非常に大事な試合がある日でした。ドキュメンタリーでその事について触れられていますが、はっきりとその結果は語られてはいないのですけれども、半分だけ使わせてもらったとかなんとか … クリケット関係者には本当に迷惑な話だった事でしょう。
意外と言えば失礼ですがオジー・オズボーンも出演しています。どうやらオジーは間際になってから参加を表明したらしく、その為母国ではなくフィラデルフィアにて、しかも午前中という早い時間をあてがわれてしまったとの事。これには本人達も不満たらたらだったらしいです。
ちなみに05年のエリザベス女王即位50周年記念コンサートにもオジーは出演しています。この人に ” 神よ、女王を守りたまえ ” とか言われるのも笑ってしまいますが、イギリスはブラックジョークが通じるお国柄なので許されてしまいます。話題はそれますがこのコンサートで最も盛り上がったのではないでしょうか。一応上げておきます。
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