#68 Feels Like the First Time

前回の80年代に活躍した女性シンガー回にて、奇しくも80年と81年の年間シングルチャートNo.1に
ついて触れました(ブロンディとキム・カーンズ)。そして82年の年間シングル1位も女性シンガーに
よるものでした。言わずと知れたオリビア・ニュートン・ジョン最大のヒット、ビルボードで9週に渡って
(10週という説もあり)首位を独走した「Physical(フィジカル)」。あまりにも有名な曲なので
今更説明の必要もないでしょうし、また今回取り上げるのは本曲やオリビアについてではありません。
この頃の洋楽にある程度詳しい人なら既知の事でしょうが、「フィジカル」に阻まれて1位になれず、
史上最も長くチャートの2位に甘んじた(悲劇の?)曲というのがあります。フォリナーによる
81年発表の「Waiting for a Girl like You(ガール・ライク・ユー)」がそれです。

 

 

 


フォリナーは76年、N.Y.にて結成されたバンド。イギリス人とアメリカ人それぞれ3人ずつ、
6名から成るグループで、バンド名の「Foreigner」(=外人・よそ者)はそれに由来するもの。
#15~17で取り上げたキング・クリムゾンの結成メンバーであったイアン・マクドナルドや
ミック・ジョーンズ(g)らの英国側と、ルー・グラム(vo)をはじめとする米国側の混成バンド
でしたが、イアンをはじめとして各々が既に活躍の実績があったので、所謂”スーパーグループ”と
結成当時は持て囃されたそうです。

https://youtu.be/qHDy_b33cCQ
77年、1stアルバム「Foreigner(栄光の旅立ち)」にてレコードデビュー。上記のシングル曲
「Feels Like the First Time(衝撃のファースト・タイム)」と共に大ヒットし、バンドは
順風満帆の出発となりました。やはりイアン・マクドナルドの影響からか、初期のフォリナーには
プログレッシヴロックの香りが漂っています。これは2nd以降は薄れていき、ミックとルーが
イニシアティブを取るようになるにつれてイアン色は影を潜めていき、やがて脱退に至ります。
2ndアルバム「Double Vision」(78年)は1stを上回るセールスを記録し、バンドは更に
上り調子に。本作からシングルカットされた「Hot Blooded」(全米3位)、「Double Vision」
(全米2位)も共に大ヒット。その人気を決定的なものとしました。

https://youtu.be/oxKCPjcvbys
3rdアルバム「Head Games」はタイトなロック色を強めたアルバムとなり、これまた大ヒット。
本作を最後にイアンとアル・グリーンウッド(key)が脱退したと一般には言われていますが、
実は二人は、次作でバンド最大のヒットとなった代表作「4」のレコーディングに途中までは
参加していたそうです。本作から「Dirty White Boy」、多分口パクですが・・・

https://youtu.be/81-ph0YYLOE
この様に、70年代の彼らは当初においてはプログレ色も併せ持ったロックンロールバンドであり、
次第にその音楽性はタイトかつハードなロックへと移り変わっていきました。やがてフォリナーは
「ガール・ライク・ユー」に代表作されるバラードがシングルとしてヒットしたこともあり、特に日本の
一部の評論家・ライターと称する人物達から、バラード重視の売れ線バンドの様なレッテルを張られる
事が多々ありました。この点においてはジャーニーなどと同じく不当かつ無礼な評価がなされていました。
ロックバンドがバラードを作る事が悪いなどと微塵も思いませんし、そもそも商業音楽において売れるのを
意識する事を否定していたら、その音楽自体が成立しません。80年代までは情報が限られていた事もあり、
先の評論家と言われる人物たちの影響を受けてしまう事がなかなか避けられなかったのですが、
インターネット時代になり彼らの評価が非常に偏った、言ってしまえばただ彼らの好みに基づくものだった
のだということに気づく人が大勢を占めるようになって、現在ではさすがに先述の様な不当な評価を
鵜呑みにする人は減ったようです。結局は聴き手がそれぞれ自分で判断すれば良いのです。

70年代のフォリナーの音楽が最も端的に表れていると私が思うのが、2ndに収録された「Hot Blooded」。
私の世代だと82年にリリースされたベスト盤「Records」
のエンディングに収録されたライヴヴァージョンが印象に残っています。本盤に収録された演奏がいつのものなのか、調べても結局わかりませんでしたが、
記憶の限り下の動画が一番近い様な気がしますので今回はこちらを。81年ドイツでのライヴという事なので、時期的にもこの頃だったのではないかと勝手に思っています。ライヴならではのテンション感が素晴らしい。

https://youtu.be/PrN0IzU5PSs
思ったより長くなってしまい、今回は70年代についてまでしか書くことが出来ませんでした。
なので2回に分けます。次回は80年代に入ってからのフォリナーについてです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です