#111 David Garibaldi

デヴィッド・ガリバルディ。この名前を聞いてピンと来る人は、洋楽に通じている人でも
そう多くないのではないかと思います。
日本が世界に誇るドラマー 神保彰さん。圧倒的なテクニックと、エレクトリックドラムなどの
ツールを使って常に新しいプレイを追及し続ける神保さんが、昔ドラムマガジン誌上にて
影響を受けたドラマーは?と尋ねられ、その時に挙げたのがスティーヴ・ガッド、ハーヴィー・メイソン、
そしてデヴィッド・ガリバルディだった記憶があります。
70年代フュージョンシーンを担ったガッドとメイソンは、ドラムを演ってない音楽ファンでも
その名前くらいは聞いた事があるかもしれませんが、ガリバルディというと『誰?』、となるのでは
ないでしょうか。


 

46年、オークランド生まれ。10歳でドラムを始め、17歳からプロとして活動し始めましたが、
66年、つまり二十歳の時にベトナム戦争へ徴兵されます。空軍の軍楽隊に所属していたそうです。
除隊してから帰郷して70年7月にタワー・オブ・パワーへ加入します。9月から11月までレコーディングを
行い、そうして出来上がった1stアルバム「East Bay Grease」をその年のうちにリリースします。

前回既に述べた事ですので重複は避けますが、フィルモア・ウェスト/イーストの設立者 ビル・グレアムが立ち上げたばかりのレーベルから本作は発売されました。二作目以降のワーナーと比べれば録音環境は
劣っていたのでしょう。ドラムの音などは殆ど生音ですが、それが却ってガリバルディのプレイを
生々しく忠実に伝えてくれています。
オープニングナンバーである「Knock Yourself Out」。ガリバルディは17歳の時にサンノゼ公会堂で
ジェームス・ブラウンのステージを観て衝撃を受けたそうです。午後の早い時間に会場へ行くと
バンドがリハーサルを演っていて、間近でそれを観ることが出来たとの事(大らかな時代だったんですね)。
彼のファンクミュージックへの興味はこの辺りから湧いてきたようです。

ガリバルディのプレイにおける特徴であるスネアのゴーストノートや16分裏の強調はこの時点で既に
完成されています。ジェフ・ポーカロ回(#63~#66)でもゴーストノートについては触れましたが、
2・4拍で強く叩くスネアショットとは別に、ごく小さな音量でプレイされるスネアショットを
こう呼びます。このゴーストノートがある事によって独特なグルーヴ感が生まれ、特にファンクなどの
16ビートドラミングには欠かす事が出来ません。本作からもう一曲「The Price」。16分裏のリズムが、特にベースドラムによって強調されているナンバー。口で言えば『ッド・・・』という感じ。

二作目である「Bump City」は、前作にあった怒涛の様なファンク色はやや薄れています。ただし
良い意味で洗練され、音質も向上しています。大レコード会社ワーナーへの移籍に因るもので
あるのは言うまでもないでしょう。それに伴いガリバルディのプレイも、1stにあったようなゴリゴリの
16ビートドラミングは少し鳴りを潜めていますが、その本質は基本的に変わっていないものと私は
思っています。上はシャッフルビートの曲「Flash in the Pan」。シャッフルについては、これまた
ジェフ・ポーカロ回で述べていますが、『タッタタッタタッタタッタ・・・』と所謂 ”ハネる” リズム。
本曲では ”タッ” の裏拍に左手でハイハットやスネアを叩く事でよりオフビートを強調しています。
これは割と古いスタイルのブルース・R&Bのドラミングによくあったプレイスタイルですが、
ガリバルディがプレイすると古さなど微塵も感じさせず、彼のドラミングになってしまいます。
先達の技を踏襲しながら、その上で自身なりの新しいスタイルを築く、まさしく温故知新です。

私見ですが、インストゥルメンタルと ”歌もの” の演奏は別、との意見が散見されますけれども、
共感出来る部分も無くはないのですが、基本的に根っこは同じだと私は思っています。そして一流の
プレイヤーは例外なくどちらも巧い。上は初期におけるバラードの傑作「You’re Still A Young Man」。
歌ごころあふれるガリバルディのバッキングプレイが堪能できます。二代目ヴォーカリスト
リック・スティーブンスの名唱が見事。一昨年惜しくも他界してしまいました、合掌。

93年にVHSビデオで発売された「Tower of Groove」。ガリバルディ自身が自らのプレイに
ついて実演しながら解説し、バンドとのスタジオライヴを交えてその素晴らしいグルーヴを披露して
くれています。VOL1・2がありますが、DVDでは一枚にまとめられています。現在は
ユーチューブで観れてしまいます。上はその中の一曲「Lakeside Shuffle」。タイトルは
シャッフルですが、ただのシャッフルでは終わらぬ一筋縄ではない楽曲。四分の四のシャッフルと、
八分の六拍子のアフリカンビートが交錯する所謂ポリリズム。途中でジャズのスウィングの
パートもあり、ガリバルディとしては珍しい4ビートプレイを観ることが出来ます。
本編ではこの演奏の後に本曲のプレイについて解説していますので興味のある方は。もっとも
英語ですから何を言っているか私には断片的にしか判りませんが …
一点だけ気になったのは、4ビートのパートで、シンバルレガート(チーンチッチ・チーンチッチと
いったジャズの基本的なリズムをトップシンバルでプレイする事)の際に、裏拍にアクセントが
付いている箇所がかなりある事。口で言えば ”チーンチッ・チーンチッ・チッチーン・チーンチッ
の様な感じ。エルヴィン・ジョーンズなどもこういったレガートをよくしましたが、これは裏拍を
強調し、よりリズムをドライヴさせる効果があります。おそらくエルヴィンにしろガリバルディにしろ、
自然とそうなったのだと思いますが。

余談ですがその昔DCⅠビデオは非常に高価で、七・八千円から一万円以上しました。おいそれと手が
出るものではなかったです。その点日本の、リットーミュージックの教則ビデオなどは良心的で、
ものによっては三千円台で買えました。リットーミュージックさんお世話になりました。
えっ? (*゚▽゚) ナニ
のビデオでお世話になったって …( °∀ °c彡))Д´)( °∀ °c彡))Д´)( °∀ °c彡))Д´)

当然一回では書き切れないので次回以降へ続きます。一字一句を惜しんで少しでもガリバルディの
魅力をより多くの方たちへ伝えていく所存であります! (`・ω・´)キリッ ・・・・・・・・・・・・・・
だったら上みたいなくだらねえこと書いてんじゃねえよ!!!ヽ( ・∀・)ノ┌┛Σ(ノ;`Д´)ノ

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