#167 Phil Collins_6

フィル・コリンズ特集その6。今回で最後です。

上はフィルによるヒット曲としては最新(最後)と言える「You’ll Be in My Heart」(99年)。
ディズニーアニメの主題歌として有名ですが、その歌唱スタイルはエンディング部を除いて
かなりソフトなものです。#164でフィルの真骨頂は絶唱型のバラードだと述べましたが、
フィル自身は元来この様な歌い方が好きなのかもしれません。もう一つの動画は#160でも触れた
フィルが初めてリードヴォーカルを担った「怪奇骨董音楽箱」に収録された「For Absent Friends」。
70年代後半から80年代はシャウトをよく用いていましたが、初めて世にお披露目された歌と
最後のヒット曲は、当然声質の変化はありこそすれ、実は共通しているのではないかと思っています。

あまり知られていませんが、70年代半ばからフィルは純粋にドラマーとして自身の力量を試そうと
あるジャズロックバンドにも籍を置きます。それがブランドX。80年代に読んだものの本ではフィルの
ドラマーとしてのソロプロジェクト、という書き方がされており、私もそう信じていたのですが、
実は違うらしくあくまでフィルは一ドラマーとして参加しただけの様です。もっともレーベルは
カリスマレーベルですからジェネシスツリーのバンドとされても致し方ありませんが。
ジェネシスもかなりテクニカルでしたが、ブランドXはまた方向性の違う技巧です。上は1stアルバム
「Unorthodox Behaviour」(76年)におけるオープニング曲「Nuclear Burn」。
方向性としてはソフト・マシーンやハットフィールド・アンド・ザ・ノースといった
正統派英国ジャズロック、つまりカンタベリーミュージックの系譜です。
フィルはあるインタビューでこう述べた事がありました。『やはり自分はドラマーとして ” アンタはすごい ”
って言われたいよ』と。自身のファンダメンタルはあくまでドラムにあるという証拠でしょう。
同じインストゥルメンタルでもジェネシスにおけるそれとは明らかに違います。ジェネシスは物語、
言い替えれば世界観・コンセプトの中で演奏する訳ですが、ブランドXにもそれが無いとは
言いませんけれども、やはりジャズのインプロヴィゼーション(即興演奏)を大きく取り入れているので
もっと自由です。フィルが新ジェネシスにおける活動のさなかに忙しい合間を縫ってなぜ参加したのか、
何となくわかる様な気がします。

フィルはドラムソロを否定していました。やはりコメントの中に ” 先がみえみえの陳腐なドラムソロには
うんざりだ。ああいうのだけはやるまいと決めている(中略)僕は一晩中四拍子だけを打っていても平気さ ”
というものがあります。ジェフ・ポーカロとも共通した信念ですが、ドラマーである事がアイデンティティーでありながらもやはり音楽本位の姿勢が伺えます。上はアルバム「Genesis」(83年)のプロモーション
ツアーである『Mamaツアー』におけるメドレー。#165でも触れたましたが「シネマショー」が
本メドレーのハイライトとなっており、ここぞという場面でチェスターとのツインドラムに移行します。
ドラムを知り尽くしている人間だからこそ、最も映えるシチュエーションを理解しているのです。
7:50頃からがそうですが、何度聴いてもチェスターによるダブルベースドラムの連打からシネマショーへ
移る箇所は鳥肌モノです。むやみやたらとただ連打するのではなく、ツーバスとはこの様に使うべきものだと
改めて教えてくれます。ちなみにメドレー最後の「アフターグロウ」でも再びフィルとのツインドラムが
始まる直前にツーバスの連打がその呼び込みとなっています。このパートも素晴らしい事この上ない。

ソロデビュー以降のフィルを売れ線ミュージシャンと毛嫌いする人達がいます。80年代における
ポップミュージックの良くも悪くも体現者の様なスタンスにいた彼は、所謂 ” 硬派な ” ロックを好む層からは
目の敵にされた所があります。私もフィルの音楽全てが好き、とは言いませんが、俗に売れ線と言われる
他のミュージシャンとは全く一線を画しているものと思っています(その売れ線とされるミュージシャン達にしたって、結局は主観の問題なのですけどね。前述した ” 硬派なロック ” とされているものの中でも
全く屁とも思わない音楽もたくさんあります。例えば・・・・あぶねー … うっかり言う所だった・・・)。

フィルは天才肌のミュージシャンではないと私は思っています。彼の資質を具体的に述べるならば、
器楽演奏・歌唱・作曲能力がいずれも高い次元で完成されていて、更に特筆すべきは
エンターテインメント音楽における ” ツボ ” を的確に把握しているミュージシャンであるという点でしょう。
この辺りが彼を売れ線と批判する輩が多い要因なのでしょうが、これ程完成・洗練されたロック・ポップスを
創って歌い上げ、しかも高度な演奏をもこなすミュージシャンが一体何人いるでしょうか。
関係があるかどうかはわかりませんが、少年期における子役としての活動がエンターテインメントの
センスを彼に培わせたのではないか?などと勝手に推測しています。

以上でフィル・コリンズ特集は終わりです。40年弱に渡って聴き続けてきたミュージシャンを
出来るだけまんべんなくその魅力を網羅して書こうと思いましたが、ホントにまんべんなく言及すると
際限が無い事に気づきました(当たり前だ)……… 可能な限りポイントを絞ったつもりでしたが、
どれ程彼の魅力を伝える文章になった事か?・・・・・ 先ほど聴き続けてきた、などと述べましたが、
実を言うと中には20年以上振りで耳にした曲もあります。中学・高校時代に初めて聴いた時の感覚が
よみがえると同時に、以前は気が付かなかった箇所が改めてわかったりしました。
もとより誰も読んでいないこんなブログを書き続けているのは(とうとう自分で言いだした ……… )、
思春期から聴き続けている洋楽について、己が再確認する為に付けている記録・誰に提出する訳でもない
レポートの様なものなので、もうすぐ五十路を迎えるこのオッサンがいつ死んでもイイように、自分の為だけに書き綴っているものと割り切っています・・・・・ あれ?これってなんか死亡フラグっぽくね? ………

スゴイこと思いついた!!( ゚∀゚)o彡゚!!! 死ぬまでにあとどのくらいとか、ブログに毎回
カウントダウンしていったら、スゲー話題になるんじゃねえ?! いまだかつて誰もやった事ないし!!!
世間の注目チョー浴びまくりで、ブログランキングの一位とかになんじゃねえの???!!!!!!
ネエみんな?! そう思うよね?・・・・・ねえ?・・・・・・・・・・・・ねえねえ?・・・・・・・・・・・・・・・・・

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