#187 Scenes from an Italian Restaurant

ビリー・ジョエルのアルバム「ストレンジャー」について取り上げてきましたが、
お分かりの人には ” あの曲がヌケてねえか? ” と思われたことでしょう。
” 読者がいればな (´∇`) ” 、なんて自虐ネタはもうやめます。たとえ誰一人として読んでくれてなくても、
自分のライフワークだと思って描き続けていく事を決めたのです。今キメました !(`・ω・´) ・・・
決めたんです …… そうなんですよ・・・・・だから …… オネガイデスカラ・・・・・。°(´∩ω∩`)°。

「Scenes from an Italian Restaurant(イタリアンレストランで)」。A面ラストに収録された
7:37に渡る長尺の本曲は、シングルカットされたわけでもなく、映画のサントラに使用されたという
わけでもなく(多分)、それでいてビリーファンはもとより、それ以外のリスナーからも長きに渡って
愛され続けているナンバーです。

ビリーファンには言うまでもない事ですが、このイタリアンレストランとはビリー行きつけの実在する
店でした。カーネギーホール近くにある『フォンタナ ディ トレビ(=トレビの泉の意)』という
レストランで、不確かな記憶ですけれども、ここ十年以内くらいに閉店したというネットニュースを
見た記憶があります(定かではない)。
これも不確かですが、ビリーが食事を取っていた際にある男女が最後の夜をその店で乾杯し、
思い出話にふけっていた、という実際に遭遇したシチュエーションを基にしたとかしないとか。

今までにも述べてきましたが、私はポップミュージックにおいて歌詞にそれ程重きを置いて
聴かない人間なので、普段は取り上げないのですけれども本曲に関してその歌詞の内容を
避けて通れません。

A bottle of white, a bottle of red
Perhaps a bottle of rose instead
We’ll get a table near the street
In our old familiar place
You and I
face to face
白ワイン 赤ワイン
それとも代わりに ロゼもどうだい?
お馴染みの店の
窓際の席に座ろうか
きみと僕
顔と顔を見合わせて

A bottle of red, a bottle of white
It all depends upon your appetite
I’ll meet you any time you want
In our Italian Restaurant.
赤ワイン 白ワイン
きみが飲みたい方にするよ
きみが望めばいつだって会いに来る
僕たちのお決まりの場所
このイタリアン・レストランでね

始めは一人称で歌われます(これが後半と対比されて重要な意味を持ちます)。語り部はどう考えても男性。
相手は普通に考えれば女性と捉えがちですが、男性でも成り立つかな?、と(別にホ〇とかじゃなくて)。

本曲は異なるパートから構成されています。三つと捉える向き、厳密には五つと捉える人。私は五つ派なので
そちらを基に話を進めます。
第一部は上記の歌詞が歌われるイントロ、イタリアンレストランパートと名付けましょうか。
ビリーはこれを ” フレームストーリー ” の手法を用いたと語っています。日本語では枠物語とされ、
導入部が外枠の話とされ、その後(内側)に短い物語を埋め込んでいく入れ子構造の物語形式だそうです。
文学に疎い私はイマひとつ? なのですが、かろうじて何となくの意味は理解できます。

Things are okay with me these days
I got a good job, got a good office
I got a new wife, got a new life
And the family’s fine
We lost touch long ago
You lost weight I did not know
You could ever look so nice
after so much time.
僕も最近 うまくやっているよ
いい仕事 いい職場に出会えたんだ
いいかみさんを見つけ
新しい生活をしているよ
家族もみんないい人たちさ
ずいぶんと会ってなかったね
痩せたことも知らなかったし
長い時を経て
とってもきれいになったんだね

Do you remember those days
hanging out at the village green
Engineer boots, leather jackets
And tight blue jeans
Drop a dime in the box
play the song about New Orleans
Cold beer, hot lights
My sweet romantic teenage nights
あの頃のこと 覚えてる?
ちっちゃな公園をぶらぶらしてた
工場の安全靴 革ジャン
タイトなブルージーンズを履いて
ジュークボックスにコインを入れて
ニュー・オーリンズの歌をかける
冷たいビール 熱いライト
10代の夜はとてもロマンチックだった

1:44辺りから第二部へと移ります。ディキシーランドジャズパートとでも呼ぶべき本パートは、
スタッカートの効いたピアノと共に歌われる前半分が導入部となり、後半分がディキシーランドジャズ調の
演奏がなされ、この後半が第二部におけるメインでしょう。
前半の歌詞からどう考えても昔付き合っていた女性と久しぶりに会った既婚男性のセリフです。
後半は恋仲にあった10代の頃に思いをはせる内容。あまり真面目ではなく、というよりは
” ツッパっていた ” カップルであった事が伺えます。
第一部から引き続き一人称で語られるので、同一人物によるものかと思ってしまいますが、
いくらフランクなアメリカ人でも、結婚して順調な生活を送っている男性がイタリアンレストランで
昔の恋人と食事をし、しかも ” いつでも会いに来るよ ” 、などと言うのは考えづらいでしょう
(勿論そういう野郎は古今東西いますけれども・・・)
であるので、第一部と第二部の語り部は別の人物、ビリーが言う所のフレームストーリー的には
第二部はイントロダクションとは既に別の物語へ移っていると考えるべきでしょう。

上は82年、地元ロングアイランドおける「イタリアンレストランで」。元のテープが劣化して
音は悪いですが(というよりピッチが揺れているのでかなりヒドイ方です)、
ビリーはもとより、
バンド全員がノリノリのパフォーマンスで素晴らしい。エンターテインメント音楽とは
こうあるべきだと改めて思い知らされます。ビリーがジョージ・マーティンとの仕事を蹴ってまで
守ろうとしたのが頷けます。

2:48辺りからがピアノソロパート、これが第三部と呼べるもの。そして次の第四部へと
なだれ込んでいく訳ですが、長くなったので二回に分けます。

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