ビリー・ジョエルが78年に発表したアルバム「52nd Street(ニューヨーク52番街)」は、
ビリーにとって初の全米アルバムチャートにおけるNo.1ヒットとなり、更にグラミー賞(80年)において
最優秀アルバム賞及び最優秀男性ポップボーカル賞を受賞します。「ストレンジャー」からの勢いは
留まる事を知らず、時代の寵児となりました。
上はB-③の「Half a Mile Away」。「マイライフ」同様にポップな曲調ですが、歌詞は「マイライフ」
の様に病んで(?)はいません。ものすごくざっくり言うと ” 毎日くたくたになるまで働いているんだ、
週末くらいは好きに遊ぼうぜ!半マイル向こうに別世界があるんだ!” のような内容だそうです。
N.Y. における市井の人々の暮らし・願望を歌った、くらいのビリーにとっては普通(?)の歌詞です。
B-④「Until the Night」を聴けば、知っている人はライチャス・ブラザーズの
「ふられた気持ち」じゃね? と思ってしまいますがそれは正解です。ビリーとプロデューサーである
フィル・ラモーンは明確な意図をもってフィル・スペクターによるこの稀代の名曲を
リスペクトしたそうです。もっともフィル・スペクターサウンドという点については「さよならハリウッド」ですでに取り入れていましたが。本曲が後の「イノセントマン」につながるのは言わずもがなです。
ダイナミックな「Until the Night」の後、アンコール的に歌われる様な形を取った小曲「52nd Street」
にてアルバムは終焉を迎えます。
私見ですが、「ストレンジャー」「ニューヨーク52番街」「グラス・ハウス」「ナイロン・カーテン」
「イノセント・マン」がビリーの黄金期であり、いずれも甲乙付け難い作品であります。
それでもこの中からどれか一つと問われれば、各楽曲のクオリティーやトータルバランスという点において、私は本作が頭ひとつ抜きん出ている、と思っています。
ほんとにちょっとです、どれも大好きなアルバムばかりです。