” レコード会社 ” と ” 音楽出版社 ” の違いというのはなかなか分かりづらいものです。
前者は原盤(レコード・CD)の権利、後者は楽曲自体の権利を管理するという理解で
概ね良いそうですが、それでもあまりピンと来ませんよね・・・・・
ビートルズで言えばレコード会社はEMI傘下である「パーロフォン」。英以外ではまちまちで、
米ではキャピトル、日本では当然東芝EMIでした。「ホワイトアルバム」以降は言うまでもなく
アップルレコードです。
ではレノン&マッカートニーによる数多の楽曲を管理している音楽出版社は?と問われると
???(´・ω・`) … ある程度洋楽に通じている人でもこうではないでしょうか。
答えから言えば「ノーザンソングス」。名マネージャー ブライアン・エプスタインが
ディック・ジェイムズという人物に依頼してビートルズの楽曲を専門に扱う音楽出版会社
「ノーザン・ソングス社」を設立しました。
以上はかなり要約したものなので、細かいツッコミはご勘弁を・・・・・
ちなみにこれはビートルズをテーマにしたブログではなく、引き続きエルトン・ジョンについてです。
このディック・ジェイムズという人物、折に触れDJMレーベルというワードが出てきていますが、
DJMとは「ディック・ジェイムズ・ミュージック」の事。つまりエルトンがデビューから
所属していたレコード会社の代表です。
エルトンとディック・ジェイムズの馴れ初めは、息子であるステファンが父が居ない夜間に自社のスタジオをエルトン達に使わせたのですが、運悪く(運良く?)スタジオ前を車で通りかかったディックが
灯りが点いているのを不審に思いスタジオに入ってみると息子とエルトン達が居た、というものでした。
しかしその時は寛大に ” 使ってイイよ ” 、と許可したそうです。出来上がった素材を聴いてエルトンの才能を見抜いた彼は早速契約を交わしました。
ミュージシャンというのは大体銭勘定に疎いです。音楽ばっかりで商いや業界の仕組みはサッパリという
場合が多く、特にデビュー時などは青二才が業界の海千山千達にイイ様に契約させられる、というケースが
往々にしてあります。
ビートルズも解散後はそれに関してすったもんだがあったのは有名ですが、世間知らずに付け込まれ
都合のイイ条件で契約させられたのはジョンやポールに限りません。余談ですが85年にそれら権利の
殆どがマイケル・ジャクソンによって買い取られたのは洋楽好きなら周知の事実。
エルトンもご多分に漏れずその様な一人でした。
前回に続いて76年の二枚組アルバム「Blue Moves」回です。上はA-④「Chameleon」。
コーラスでビーチボーイズのブルース・ジョンストンが参加しています。
年二枚のアルバムを出すという契約などが他に無かった訳では無いようですが、やはりかなり厳しい条件で
あるのに変わりはなく、そして何よりそこからエルトン達にもたらされる成果が決して分の良いものでは
なかったそうです。勿論これらは成功を収めた後に周囲から(弁護士など)言われてエルトン達も
はじめて気づいたものです。巨万の富を得たエルトンではありますが、だからこそ周りには
「キミは搾取されている!もっと貰って良いはずだ!オレが掛け合ってやる!!」というい取り巻きが
現れた、という事もあったのでしょう。
やがてエルトンとディック・ジェイムズは裁判で争う事となります。そしてその結果は、泥沼の末
時間と経費だけを費やし、最後は幾ばくかの金銭をディック側が支払うという結末に終わります。
どちらも得をしない一番悪いエンディングです。裁判は大人のケンカと言われますが、
この場合はまさしく喧嘩両成敗といった結末であったでしょう(例えが合ってるかな?)。
上はB-④「Shoulder Holster」ですが、前回も書いた通りこの様な泥臭いロックナンバーが
エルトンの十八番では?とあらためて思わされます。
「Blue Moves」はエルトンが設立したレーベル『ロケットレコード』よりリリースされます。
元々はバンドのギタリスト デイヴィー・ジョンストンのソロアルバムを創るために新たなレーベルを
興そうとしたのが始まり、とどこかで読んだ記憶があるのですが間違っていたらご勘弁を・・・
クリフ・リチャードやニール・セダカといったビッグネームと契約し、勿論エルトンとゆかりのある
デイヴィーやキキ・ディーといったミュージシャン達を擁しました。
エルトン自身のレコードを出すためのレーベルではなく、若手に作品を出させる機会を与えるのが
目的であったと言われています。ただ当然ゆくゆくは自分の作品も、という思惑も無かった訳では
ないでしょう。
上はゴスペル風味のⅮ-①「Where’s the Shoorah?」。あ!あと書き忘れるところでしたが、
一番上の動画は本作からのヒットシングル「Sorry Seems to Be the Hardest Word」です。
本作については二枚組にして冗長になってしまったのではないか?一枚にまとめればもっと良かったのに?
などという声が散見されます。たしかに私もそう思わなくもありません。しかし、自身によるレーベルからの初リリースという事もあり、エルトンの意気込みもかなりのものだったのでしょう。
彼の様な天才には好きにさせておく方が良いのです。そういう表現者は稀にしかいないのですから。
上はラストを飾る「Bite Your Lip (Get Up and Dance!)」。エンディングにふさわしいまさしく
大円団といったナンバー。もう一つは何度も出てきますが80年のセントラルパークにおけるプレイ。
ディー・マレー(b)とナイジェル・オルソン(ds)も戻ってきています。仲直りしたんですかね?
そう、” 仲良きことは裁判より美しき哉 ” ですよ。あっ!うまいこと言っちゃったかな?(*´▽`*)
いや、全然うまくないよ (´・ω・`) ・・・・・