#247 Nobody Loves You (When You’re Down and Out)

今まで何回か書いた事ですけれども、私はポップミュージックにおいて歌詞というものに
あまり重きを置いていません(作詞家及び歌詞を好む方には先に謝っておきますm(__)m)。
中学に入った頃から洋楽を聴き出しましたが当然歌詞など分からず(一応訳詞は読みましたが)、
自分にとってその音楽の魅力は歌詞以外の要素でした。ですからインストゥルメンタルにも
抵抗なく入っていく事が出来ましたし、かなり乱暴な極論ですが何なら全編スキャットで
歌ってもらっても構わないと思っています。
ここまで逆を張っておけばもうイイでしょうかね ………… 今回は歌詞を中心に取り上げます。

ジョン・レノンのソロアルバムで何がイチバンか。精神療法によって赤裸々に内面をさらけ出した
「ジョンの魂」だ!いや平和について歌ったジョンの代表曲がタイトルである「イマジン」だ!
何を言う!原点回帰した「ロックン・ロール」こそ最高傑作だろ!!イヤイヤ … 結果として遺作に
なってしまったがカムバック後の「ダブル・ファンタジー」異論は認めない!!!
等々・・・ファンの間で喧々諤々になるのは言うまでもありません。

74年にジョンがリリースしたアルバム「Walls and Bridges(心の壁、愛の橋)」。
全米1位を獲得した本作はそれまでの政治的メッセージを排し、音楽本位(当たり前なんですがね)
で制作に取り組んでおりジョンのソロキャリアにおける中~後期の傑作とされています。
私はこのアルバムが一番好きです。その全てが完成度の高い楽曲ばかりで一部の隙も無い作品とは
こういうものを指すと考えています。それら楽曲群においてあえてベストトラックを挙げるなら、
甲乙付け難い二曲があるのですが、今回はこちらを。
「Nobody Loves You (When You’re Down and Out)(愛の不毛)」。本アルバムの実質的
ラストナンバーである本曲を端的に表現するならば、徹底的に救われない歌詞を淡々と歌ったもの、
とでも言い表す事が出来るでしょうか。
落ち込んでいるときには 誰も君を愛してくれない
有頂天になってるときには 誰も君を気にかけない
本曲を象徴しているのがこの二行のフレーズです。

この時期のジョンは再婚相手であるオノ・ヨーコ氏と別居状態にあり、N.Y. からL.A. へ
移り住み(逃げ出した?)フーのキース・ムーン、二ルソン、そしてリンゴ達と毎晩のように
泥酔しては乱痴気騒ぎを繰り返していました。ヨーコ氏と別居した理由は様々あるらしいのですが、
その最たるものは浮気。事務所のスタッフである中国系アメリカ人女性と共に逃げたのです。
これが俗に言う『失われた週末』というものです。
本作はその様な状況下で制作されました。といってもスタジオにアルコールやドラッグを持ち込んで
タリラリランのラリパッパで録音するというものではなく、それらを一切断ち真面目に取り組んだとの事。
レコーディングスタジオもN.Y. へ戻し、以前の創造的気運に満ち溢れていたと言われています。
なにも隠すものもない きみはそれでもまだ 僕がきみを愛してるか尋ねてくる
それって何だい? それって何だい?
すべてはショービジネスなんだ すべてはショービジネスの世界なんだ
説明不要なまでに身も蓋もない歌詞です。62年から突然時代の寵児となったジョンにとって、
それまでの約12年間とは上記の様なものだったのでしょうか。
海の向こうに 今やもう何回も行ったさ 盲目の人を導く片目の妖術師が そこにはいたんだ
きみはそれでもまだ 僕がきみを愛してるか尋ねてくる
それって何だい? それって何だい?
指で触ろうとするといつも すり抜けていってしまう
指で捕まえようとするといつも すり抜けていってしまう
片目の妖術師が盲人を導いている、ポップミュージックの歌詞にてこれ以上惨い状況を表現するのは
不可能でしょう。

淡々と歌われる曲の中で一パートだけジョンがシャウトします。所謂大サビの所です。
朝起きて、鏡に映った自分を見る、ooo wee!
暗闇の中、もう眠れないって分かっている、ooo wee!
しばし静寂の後、またまた淡々とした歌が再開されます。
年を取ったきみのことなんて誰も愛してくれない 混乱しているときにも誰もきみを必要としない
誰もが自分の誕生日のことで大騒ぎしてる 誰もがきみを愛すのは
死んで墓に埋められたときなんだ(six foot in the ground)
『ライ麦畑でつかまえて』をポップスの歌詞で表現したならば、ビーチ・ボーイズ「駄目な僕」か
本曲にとどめを刺すのではないでしょうか。

救われない厭世的な歌詞は他にもいっぱいあるとは思いますが(ジム・モリソンとか。彼のは
厭世的かつ耽美的とでも言えるでしょうか)、やはり楽曲が見事であり、音楽として完成されて
いなければなりません。暗い歌詞をひたすら陰陰滅滅と歌うだけではそれこそ
” 落ち込んでいるときには 誰も君を愛してくれない ” となってしまうのですから。

今日の日に合わせて少し前からジョン・レノンについて書いてきました。
毎年12月8日もしくはその前後には必ずジョンに絡めたネタで書いてきましたが、
その為ここ最近ジョンの曲をよく聴くようになっていました。例年は一年でこの日くらいしか
聴くことはなかったんですけどね。勿論今日は一日中かけて過ごしています。
気が付けばジョンが死んだ歳を一回りも上回ってしまいました … (欧米で一回りという
概念があるかどうかは知りませんけど・・・)
歳を取ると ” あと何回桜が見られるか? ” などと自分の生い先を心配する表現をしますが、
私の場合はあと何回ジョンを悼むこの日が迎えられるか?などと考えます。
考えてもしょうがないですね。今を生きましょう。運が悪けりゃ死ぬだけです。
あっ!まだジョンで書きたい事があるので、今年いっぱいはジョンネタ(変な表現だな … )で
もう少し続けます。

 

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