#259 Jeff Beck_11

ある一曲があまりにも取り上げられすぎて、そのミュージシャン元来の音楽性が正しく世間へ伝わっていない事が往々にしてあります。ビリー・ジョエル「Just the Way You Are」(#183ご参照)はポップミュージックにおける稀代の名曲である事に私も何の異論もありませんが、ビリー・ジョエルはこの様な甘いラブバラードを真骨頂とするミュージシャンであるとされると ” ちょっとまて!それは違う … ” と言わざるを得ません。若い頃からうつ病を患い数度の自殺未遂を起こし、彼が創る曲はむしろ厭世的な歌詞やあるいは抽象的、時に非常に難解な物語的世界を得意とするのです。例えば「イタリアンレストランで」など(#187ご参照)。
あっ!これはビリー・ジョエル回ではありません。前回に引き続きジェフ・ベックのアルバム「Blow by Blow」(75年)についてその2です。
前回でも述べた事ですが本作では「Cause We’ve Ended as Lovers(哀しみの恋人達)」が有名になり過ぎて、ジェフ・ベックというギタリストはこの様な所謂 ” 泣きのギター ” を真骨頂とするプレイヤーなのだろう、と思われがちであり、実際に職業音楽ライターがその様に記しているのを目にしたこともあります。
これは自信を持って断言しますが正しくありません。これもジェフのプレイの内の一つ、という表現が正しいのです。いや、むしろジェフのオリジナリティーがふんだんに盛り込まれているのは本作において他のトラックだと言えるでしょう。
なんか本曲についてネガティブな物言いで始まってしまいましたが … これが名演であることに何の異論もありません、勿論です。スティーヴィー・ワンダーのペンによる本ナンバーは、その前年に元妻であるシリータ・ライトへ提供したもの。結果的にはこちらのヴァージョンの方が有名になってしまいました。
副題である「ロイ・ブキャナンに捧げる」にてロイ・ブキャナンというギタリストの名を初めて知った人が多いはず、勿論私もその一人です。どんなギタリストなんだろう?永年実像が掴めなかったプレイヤーでしたが、インターネット時代になって聴く事が叶いました。

百聴は一見に如かず。上がロイの代表曲「THE MESSIAH WILL COME AGAIN(メシアが再び)」です。スタジオ録音も素晴らしいのは言わずもがなですが、やはりこれはライヴ音源がイイ!何より視覚的にそのプレイを確認する事が出来ます。
なるほど、ジェフが敬愛しその手本としたのがよくわかります。エレクトリックギターという楽器の特性を活かし、可能性を拡げた先駆者の一人です。その意味においてはジェフやジミ・ヘンドリックスと同列に並べられてもおかしくない存在なのです。失礼ながらロイも歌が決して上手くはありませんでした。ですからギターでもって自分の歌(声)を表現しようとしたのでしょう。
「Blow by Blow」の印象的なジャケットに描かれている黒のギブソン レスポール(ちなみに裏ジャケットはその元になった写真)。それによって「Freeway Jam」はアーミングが使われるので勿論の事、あと「Air Blower」など数曲はストラトキャスターかな?あとはレスポールだろう。と思い込んでいました。昔は情報が少なかったですから。
インターネット時代になり、本曲がフェンダー テレキャスターにて録音されたと知った時は驚きました。正確に言えば純粋なテレキャスではなくピックアップにギブソン社製のピックアップを搭載した通称『Tele-Gib(テレギブ)』と呼ばれるもの。ギター用ピックアップのメーカーで有名なセイモア・ダンカンの創業者である同氏が改造してあげたそうです。ジェフが持っていた54年製フェンダー エスクワイア(テレキャスの前身となったギター)を預かりギブソンのハムバッカー(ダブルコイル。フェンダーはシングルコイルなのでパワーはギブソンに劣る)に載せ替えテレギブを作りました。
こぼれ話ですが、このテレギブの音にとても喜んだジェフではありますが、元のエスクワイアの音色も懐かしく思っていたとか・・・別れた女もイイオンナだったな … 的な・・・・・
これまた余談ですがセイモア・ダンカン氏は70年代にロンドンのフェンダーで働いており、そこでジェフをはじめとしたイギリスの様々なギタリストと交流を持ったらしいです。

こういう曲はやはり生でも聴きたい、という事でライヴの動画を。上は説明欄に記述はありませんが86年6月に軽井沢プリンスホテルの野外特設会場で行われたジェフ・ベック、サンタナ、スティーブ・ルカサーの共演コンサートにおけるもの。ここで使われているテレキャスはテレギブではありませんね。ですがやはり音はジェフ・ベックのもの(当たり前だ)。一流のプレイヤーはどんな機材でも自分の音にしてしまいます。

本曲だけで結構な文量になりました。他のB面収録曲についてはまた次回にて。
否定的な話から入っておいて随分長々と書いたじゃないか?と言われるかも・・・
当たり前です。とても好きな一曲ですから。

#258 Jeff Beck_10

『エポックメイキング』。これまで何度か使ってきたワードです。歴史的な変革や画期的な出来事を引き起こすことまたはそのような出来事や作品を指す言葉、とされていますけれども、日本語で言い替えられないか?と思い調べてみると画期的、未曾有、前代未聞といった言葉が挙げられていますが、どうもしっくりこない。
画期的はともすれば陳腐に聞こえるし、未曾有と前代未聞はネガティブな意味で使われる事が多い気もする …
はて?どうしたものやら・・・

ジェフ・ベックが75年にリリースしたアルバム「Blow by Blow」。本作については#5で取り上げているので内容が重複しない様にしていきます。あっ!とは言っても多少はダブルかも …(*´∀`;)…
A-①「You Know What I Mean」。本作について語られる時、とかく「哀しみの恋人達」が取りざたされる事が多いのですが、私はこのアルバムを象徴するトラックはこの曲だと思っています。
インストゥルメンタルの作品を創ろうと思ったのは当時マハヴィシュヌ・オーケストラなどのジャズロックに
傾倒していた為というのは以前にも書きましたが、マハヴィシュヌと全く同じ事を演ろうとしたとは考えられず、ロック、ジャズ、ファンク、ソウル、ラテン諸々をミックスしたジェフなりのジャズロック、当時の言葉で言う ” クロスオーヴァー ” を創ろうと思ったのだと私は考えています。
ですのでマハヴィシュヌやウェザーリポートなどジャズ側からのアプローチと全く異なる点はあくまでリズム、グルーヴ重視という所です。リズム隊も勿論即興は演りますが、しかし基本的には繰り返されるビートから生まれるグルーヴが核となっており、その上でジェフが縦横無尽に駆け回るといった表現が合っていると思うのです。トリッキーなビートも心地良く感じるのはそのせいかと。これを根っからのジャズミュージシャンが演るとまた違ったものになったでしょう。

A-②「She’s a Woman」は言うまでもないビートルズナンバー。マックス・ミドルトンが提案したそうであり、カリプソ&レゲエ調のアレンジも彼によるもの。しかし本作のプロデューサーであるジョージ・マーティンはこの録音を良く思っていなかったとの事。マーティンがいたからビートルズナンバーを取り上げたのかと普通は考えてしまいますが全くその様な理由ではなかったと。ジェフは気に入っていたそうです。

A-③「Constipated Duck」。リズム陣の演奏は相変わらず見事なものですが、楽曲とジェフのプレイに関しては本作において印象が薄いものです。

次曲である「Scatterbrain」とメドレーになっており前半ハイライトの幕開けとなるA-④「Air Blower」。これも鉄壁のリズム隊に支えられジェフが水を得た魚の様に跳ね回ります。リチャード・ベイリー(ds)が叩き出すパターンはレッド・ツェッペリン「移民の歌」と同じですが、ボンゾのそれとは異なり非常にタイトなグルーヴです。ベーシストのフィル・チェンは当時イギリスで引っ張りだこのセッションプレイヤーでした。ミドルトンのプレイが素晴らしいのはいわずもがなであり、本当にリズムトラックだけ聴いても惚れ惚れするような演奏です。
ちなみに上の動画では3:26辺りで実際には「Scatterbrain」に入っています。ただ動画を編集する上ではこの様な区切り方の方がベターでしょう。

直訳すると ” 脳みそ撒き散らす ” という何とも猟奇的かつグロテスクなタイトルであるナンバーは短いドラムソロから始まります。あっ!勿論本来の意味はちゃんとあって ” そそっかしい人 ” だそうです…
9/8拍子のあまりにも印象的なリフは、ジェフの運指練習でよく演っていたスケールが元になっているとの事。本作はジャズとは異なりリズム・グルーヴ重視と先述しましたが、本曲に関してはコール&レスポンス、つまり即興によるインタープレイが顕著に出ています。特にドラムがギターやエレクトリックピアノのプレイに絡みつき、時に煽るような瞬間がありますがこれはジャズ的なものです。
そしてさらに高い次元への昇華たらしめているのはマーティンによるストリングスアレンジ。#5でも述べましたが、ジェフは嫌がるかな?と考えていたこのアレンジを意外にも素直に受け入れ、その素晴らしい結果に大変満足したと言われています。とかく気分屋でわがままとされていますが、ジェフ・ベックという人はちゃんと音楽本位で考えられる人だったのでしょう。
ここまでがLPではA面。B面については次回にて。

#257 Jeff Beck_9

前々回にジェフ・ベックが他のミュージシャンへ客演したものだけを取り上げたらオモシロイんじゃね?と思いついたのですけれども・・・・・思いつきを実行いたします。

先ずはスティーヴィー・ワンダー「Lookin’ for Another Pure Love」(72年)。あまりにも有名なスティーヴィー黄金期の幕開けを飾ったアルバム「Talking Book」に収録された本ナンバーは収録曲の中では地味な存在ではありますが、そんな曲であってさえこのクオリティーの高さというのがこの時期におけるスティーヴィーの凄さ(異常さ?)がうかがい知れます。
” ジェフ節満開!” といった感じのソロですが、その後のオブリガートもジェフならでは。人によっては「歌の邪魔だ!」と怒る人もいるかもしれませんけれども、それでも許されるのはジェフ・ベックだから。それ以外に理由はありません。「迷信」にまつわるエピソードは何度も触れてますのでここでも割愛(#117ご参照)。

記録にある限りジェフが客演したもので一番古いものが上のドノヴァン「Trudi」(69年)。ロン・ウッドとジョン・ポール・ジョーンズ、そしてコーラスでロッド・スチュワートも参加していることから、要は第一期ジェフ・ベック・グループ関係者総出でアルバムに加担した(言い方が悪いな … )という事。ちなみにニッキー・ホプキンスも参加しているのでこの辺りで知り合ったのかな?と。ホプキンスは売れっ子のセッションプレイヤーであちこち引っ張りだこでしたから至る所で顔を会わせていても不思議ではありませんが。
ジェフのプレイ自体はそれほど特筆すべきものではありません。

お次は有名どころでスタンリー・クラーク「Hello Jeff」(75年)。アルバム「Journey To Love」ではタイトルトラックと本曲の2曲に参加しています。題名から伺える通りジェフをフィーチャーした曲であることは言わずもがな。
以前も書きましたが、ジェフの凄いところは技術的には敵わないジャズ・フュージョンの猛者たちにも決して気後れすることなく自分のプレイを貫いている所です。誤解の無いように言っておきますけれどもジェフが決して進歩しなかったという事ではありません。アルバム「Blow by Blow」から始まるインストゥルメンタル及びクロスオーバー的な音楽を演るにあたってジェフは相当練習したそうです。マックス・ミドルトンに影響また力を借りてジャズ的なアプローチを学んだと言われています。
しかし根っこの部分では変わっておらず、速く・複雑・そして正確にというテクニック面では及ばないプレイヤー達に対しても、自分のスタイルを変えることなく真っ向勝負を挑んでいました。ジェフがジャズ界のプレイヤー達から愛された理由はその辺りにあるのではないかと私は思っています。

ミック・ジャガー「She’s the Boss」(85年)のオープニングナンバーである「Lonely at the Top」。
本曲は#75でも取り上げていますが久しぶりに聴いてもカッコイイ・・・・
本作でジェフはかなり弾いていますがもう一曲だけタイトル曲を。

ジェフがローリング・ストーンズに加入していたかもしれない、というのも有名なエピソードで#75でも触れているので詳しくは書きませんけれども、やはり参加せずに良かったと思います。その時目指していた音楽性の違いなど理由はあったようですが、どう考えてもキース・リチャーズとジェフがうまくやっていけたとは思えませんので・・・・・

セッションミュージシャンはプロデューサーやアレンジャーの要求に答えつつ、しかも一流のプレイヤーはその中でも自分の色を、良い意味で爪痕を残してその地位を築いていきます。それに対してジェフに仕事を依頼した人達ははなから ” ジェフ・ベックの音とフレーズ ” が欲しくてラブコールを送っていたのです。この様なギタリストは他に何人いるでしょうか?失礼を承知で言えば超絶テクニックを期待して仕事をオーダーした訳では決してありません。そういうプレイが必要であれば別のギタリストが相当数います。
これはジェフがギターでもって自分の歌(声)を表現したプレイヤーだったからでしょう。お世辞にも歌は上手くなかったジェフだったからこその事です。コーラスシンガーでとても上手い人たちは大勢いるでしょうが、この曲には是が非でもあのシンガーの声が必要なんだ!というのと同じです。人間の歌(声)ほど同じくプレイ出来ない楽器は他に無いのですから。

#256 Jeff Beck_8

前回はティナ・ターナーの訃報に触れて誤用としての『閑話休題』となった訳ですが、今回は正しい意味での『閑話休題』。#254から引き続いて所謂第二期ジェフ・ベック・グループのアルバム「Jeff Beck Group」(72年)についてです。
#254でさらっと触れましたが本作においてはスティーヴ・クロッパーをプロデューサーに迎えています。ブッカー・T&ザ・MG’sにてオーティス・レディングなどの黒人音楽に携わってきたクロッパーの力を借りることによってよりブラッシュアップ(この場合は ” より
黒っぽく ” と言うべきか?)した作品を目指したのかと推測されます。ジェフとクロッパーという組み合わせには正直あまりピンと来ないものがありますが、実はMG’sのヒット曲「Green Onions」(62年)に魅了され、そこからブラックミュージックを愛聴していったというエピソードがあります。とにかくこの時期のベックは ” 黒っぽさ ” を求めており、必然的にクロッパーの起用となったのではないでしょうか。
ドン・ニックスのペンによるB-①「Going Down」。今回初めて知ったのですがクロッパーや同じくMG’sのベーシスト ドナルド・ダック・ダンと高校の同級生だったそうです。初出は ” Moloch ” というバンドによってですが(69年)、有名なのはフレディ・キングによる前年のヴァージョンです。参考までにどちらも。フレディ版を基にしたのであろう事は一聴瞭然です。
余談ですがレコーディングの打ち上げにてニックスは本テイクを称賛したそうです。

本作はリリース当初評論家ウケが良くなかったそうです。やれ前作より劣る、カヴァーが原曲にはるか及ばない、さらにはベックのギターは良いがバックメンバーがダメだ、ヴォーカルとキーボードが特に良くないなどなど …
これまでにも散々書いてきましたが、この事実でわかるのは如何に自称評論家・ライターといった人たちの意見が当てにならないかという事です。後年の本作へ対する評価を見てこの時酷評した人たちはどう思うのか?………… 何とも思わないでしょうね、言いっぱなしですから・・・・

B-②「I Got to Have a Song」はスティービー・ワンダーによる楽曲。オリジナルは70年の「Signed, Sealed And Delivered」に収録されています。ジェフとスティービーの関係については折に触れて述べてきた事なのでここでは割愛します。ちなみに原曲も。

本作でよく取り上げられるナンバーはA-①、B-①、③、④といった所ですが、私は本アルバムにおけるベストトラックは本曲ではないかと思っています。ジェフのギターにばかりスポットを当てて聴いていると違う感想を持つのかもしれませんが、楽曲は勿論の事アレンジと演奏全てが高い次元でミクスチャーされ、そこに素晴らしいグルーヴ感が加わっています。気難しく完璧主義者で知られるジェフ・ベックも、このテイクの完成を聴いた時には満足したのではないか、とソースはありませんが勝手に推測したりします。
ボブ・テンチの歌を酷評したその時の評論家!アンタこの曲を聴かずに書いたんじゃないか!?
あと女性コーラスも素晴らしいのですがクレジットがありません。誰だったのでしょう?・・・

B-③「Highways」はベックのオリジナル。本曲がアルバムのハイライトである事は間違いないでしょう。
前曲に負けるとも劣らずの傑出したプレイとグルーヴ感は圧巻です。後半マックス・ミドルトンのエレクトリックピアノへ向かう直前のコージー・パウエルによるスネアドラムの連打がたまらない … あと相変わらずカウベルの使い方もニクい …
ヘヴィメタル・ハードロックを好む人たちからすると大して速く弾いていないし、結構ピッキングとか怪しい所もある、ジェフ・ベックって何がそんなにスゴイの?と思う人達も多いでしょう。
それに対する答え・反論はありません・・・あ!これでは話が終わってしまう … そういうテクニカルな面で語るならジェフ・ベックというギタリストはトッププレイヤーには入りません(それはジミヘンやクラプトンにも同じことが言えるのですが)。
本曲についてあえて言うならフレーズのオリジナリティーという事でしょうか。速さや流麗さとは全然別のベクトルを追求していたのがジェフ・ベックというギタリストだと私は思っています。ギターをいかに ” 歌わせるか ” これこそがジェフが生涯追い求めた命題の様な気がします。皆が生まれ持って美声・広い声域・声量を持って生まれてきている訳ではないのです。ジェフは彼にしか出来ない方法でギターを歌わせたのです。
ついでに本曲ではリズムギター、つまりカッティングやオブリガードも秀逸です。どうしてもソロプレイに耳が行ってしまいがちですが、そういった所を楽しむのも音楽の聴き方です。速くて複雑、かつ正確なギタリストがイチバン偉いとなると、エディ・ヴァン・ヘイレンやイングヴェイ・マルムスティーンが最もスゴイギタリストという事になりますからね。あ!別にエディとイングヴェイをディスってる訳ではないですよ。というか速弾きのギタリストで思い浮かぶのがエディやイングヴェイという時点で歳がバレますね … 今速弾きで有名な人って誰なんでしょうか?教えてもらっても多分わからないでしょうが・・・

エンディングを飾る「Definitely Maybe」はインストゥルメンタル。スライド(ボトルネック)とワウが効果的に使われている印象的なナンバーです。下の動画は昔からよく観ることが出来たものでドイツのTV番組『Beat-Club』に出演した際の映像。この頃としては音と映像がかなり良く、また動いてる第二期ジェフ・ベック・グループはこのTVプログラムによるもの位しか無かったと記憶しています。なのでとても貴重な映像です。気軽に観る事が出来る世の中になって本当にヨカッタ♪(*´▽`*)
さすがにギター一本で本曲を演るのは不可能だったのでしょう。後から一本、さらにもう一本と撮って重ねているのが2:30辺りで観る事が出来ます。これも大変貴重であるのは言わずもがな。
ちなみに『Beat-Club』が放送されていたのは72年迄という事なので番組終了間際くらいだったのでは?

ジェフ・ベックはその気難しさと完璧主義からバンドが長続きしなかった事は洋楽ファンにはよく知られた所です。この後一旦お流れとなったベック・ボガート & アピスを組むこととなりますがそれも短命に終わります。「Blow by Blow」以降はバンドを組むことは無く(ハニー・ドリッパーズなど企画モノは除く)、ソロミュージシャンとして活動していく事となります。
ヤードバーズからBBAまで、組んだバンドの中で最もしっくり来ていたのが第二期ジェフ・ベック・グループだったのではないかと私は思ってます。バンドの ” しっくり来る ” とは何をもって?と突っ込まれるのは重々承知ですが、この場合はリーダーであるジェフのプレイは勿論の事、他メンバーが生き生きと演奏し、当たり前ですがバンドで最も大事な要素の一つであるグルーヴ感が他のそれらよりも一つ突き抜けているのを感じられるからです。
技術的・音楽的にはこの後からジャズフュージョン畑のメンツを迎える様になってより高度になる訳ですが、勿論それらも素晴らしく私も鼻血が出る程聴きまくったのですけれども、前作「Rough and Ready」と本作にある音楽性・グルーヴ感はそれらとは比較できない何かがあるのです。

#255 Jeff Beck_7

『閑話休題』とは一旦話を本筋から脇道へ逸らす事、と誤用される場合が多いそうです。恥ずかしながら私もそう思っていました … 正しくはその全く逆だそうで・・・

ティナ・ターナーが亡くなりました。享年83歳。ティナについては#102及び#103で取り上げていますので宜しければそちらを。
音楽的パートナーであり夫であったアイク・ターナーからの虐待に耐えかね、彼の元から逃げたことによってツアーのキャンセルに関する損害賠償等を負ってしまい、かつてはミリオンセラーも飛ばした人気シンガーが70年代半ばからはドサ回りも厭わず歌い続けました。そしてそれを支えたのはローリング・ストーンズ、ロッド・スチュワート、デヴィッド・ボウイといった英国勢のミュージシャン達だったのは興味深い事です。
それから84年のアルバム「Private Dancer」の大ヒットにより見事な復活劇を遂げたのは周知の事実。

今年に入ってからずっとジェフ・ベックについて書いてきたのに、ティナの訃報に触れて誤用である ” 閑話休題 ” という流れで取り上げたのか?と思ったそこのアナタ!残念ながらジェフとティナについては ” 閑話 ” とならないのですヨ!!!
・・・えっ?思っていない??そもそもこんなブログ誰も読んでいない???
やだな~!そんなにホメないでくださいヨ~ (´^ω^`)

ジェフは「Private Dancer」のレコーディングにて二曲参加しています。一つはタイトル曲そしてもう一つは上の「Steel Claw」。前者についてはダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーによる作品でありノップラー自身は録音に参加せず代わりにジェフが弾いているというのは#103で既述の事。後者について、二人のその弾けっぷり・かっ飛び具合から、私は本アルバムにおけるベストトラックはこれではないかと思っています。不遇な時期にストーンズやロッド・スチュワートの様にアリーナを満席に出来る歌手になりたい、と思い従来のソウル・R&B路線からポップミュージックスタイルへと大胆な変貌を遂げ、結果大成功を収めました。
60~70年代のスタイルと80年代以降のそれのどちらが良いかはひとそれぞれの好みですので、甲乙を付ける事柄ではありませんけれども、「Steel Claw」は心機一転を図ったティナを象徴するこの時代におけるエポックなナンバーではないかと思っています。もっとも本質的にティナの歌そのものは一貫して変わってはいないんですけどね。

という訳でティナ・ターナーの訃報に接して ” 閑話休題 ” ではありませんけれども、ほんのちょっとだけ前回までとは目線を変えたジェフ・ベック回としてみました。それで思ったのは、今までジェフに関するリーダー作の時系列に沿って書いてきましたが、他のミュージシャンへ客演したものだけを取り上げても面白いんじゃないかな?と思ったりしました。でも前回のアルバム「Jeff Beck Group」B面についてもまだ書いていないんですよね・・・
・・・えっ?大丈夫??誰もこんなブログ読んでないって???
やだな~!そんなにホメないでくださいヨ~ (´^ω^`)

#254 Jeff Beck_6

器楽演奏者の音楽に関して、そのプレイの秀逸さと楽曲自体のクオリティーが必ずしも比例するとは限りません。曲はイイけど演奏が… という場合や、勿論その逆も往々にしてあります。
そこまで極端ではなくとも、そのプレイヤーの演奏をメインに聴くならばこのアルバムだけれど、作品そのものとしてはこちらの方が好き、といった事もこれまた往々にして …
今回は後者の方です。

ジェフ・ベック・グループがその名をタイトルに冠したアルバム「Jeff Beck Group」(72年)。そのジャケットから通称『オレンジ・アルバム』と称される本作はジェフやメンバー達のプレイが秀逸なのは勿論ですが、何より作品として素晴らしいものです。ジェフはその後におけるインストゥルメンタルの作品群が最もよく取り上げられる事が多いのですが、私はジェフのアルバムでこれがイチバン好きです。あっ!勿論「ブロウ・バイ・ブロウ」以降のフュージョン作品も鼻血が出るほど聴きましたよ。
A-①「Ice Cream Cakes」は本作を象徴する楽曲。コージー・パウエルのドラムがクールでありながら、それでいて怪しげな幕開けを告げます。コージーはこういった技術的には決して難しい訳ではなくとも、他のドラマーには浮かばない発想のフレーズが秀逸です。長く焦らされたかの様なイントロが終わるとボビー・テンチのこれまた粘っこいヴォーカルが入ってきます。
緊張と痴漢 … もとい弛緩という話は確かエルトン・ジョンの回でしたと記憶していますが、この粘っこい緊張感・テンションが一転して開放される瞬間があります。2:27からのパートがそうですが、その直前から始まるブリッジの展開が見事です。ジェフのトリッキーな音色及びフレーズにコージーとのショートソロの掛け合いが緊張感を極限まで高めることで、先述のそれらが発散される流れとなるのです。
ジェフのソロはパーツ一つ一つを取れば、例えば3:10当たりのフレーズなどはよく聴く事が出来、またどれも基本的にはマイナーペンタトニックに根差した指グセ的なものなのでしょうが、その組み合わせ・歌わせ方及びトーンのセレクションがジェフ独自のものであり、速く複雑かつ流麗に弾くという技術のベクトルとは一線を画するものであるからこそ(勿論それらは大事ですが)、彼が唯一無二のギタリストと呼ばれるのだと思います。

A-②「Glad All Over」は古いR&Rのスタンダードナンバー。ビートルズやブライアン・セッツァー等もカヴァーしている本曲を独自の味付けで煮染めています。ちなみにデイヴ・クラーク・ファイヴに同名ヒット曲がありますが全くの別物。原曲はロカビリー然としたものですが、こちらはそれをR&Bライズ・ファンカライズさせオリジナルとは異なる仕上がりに。えっ?そんなコトバ聞いた事ないって?当然です、今私がつくったからです (´・ω・`)
ジェフのプレイに関しては変則的なソロが印象に残りますが、特に終盤でのオブリガードやカッティングといったリズムギターも聴きどころです。ジェフは基本的に自分では歌わないギタリストなので、B.B.キングやエリック・クラプトンの様に歌とギタープレイ、という区分けが無いのでしょう。全てがジェフにとって ” 声 ” であり
” 歌 ” なのです。コージーの合間合間に入るカウベルが憎い(勿論イイ意味で)。

A-③に収録された「Tonight I’ll Be Staying Here with You」はボブ・ディランによる69年のナンバー。オリジナルはレイドバックした雰囲気ですが、見事なまでにR&Bスタイルのバラードとなっています。ボビー・テンチの歌の良さを引き出す為のチョイスかな?と思ってしまう程の名唱。今回ディランのオリジナルを初めて聴いたのですがそちらも素晴らしい。

A-④「Sugar Cane」はジェフと本作のプロデューサーであるスティーヴ・クロッパーの共作。地味なナンバーではありますが、名盤というものはその様な楽曲でもクオリティーが高いのです。

「Ain’t No Mountain High Enough」(#146ご参照)など数多の名曲で知られる夫婦ソングライターチーム アシュフォード&シンプソンによる「I Can’t Give Back the Love I Feel for You」にてA面は締めくくられます。初出は68年のリタ・ライトによる録音。のちにスティービー・ワンダーの妻となるシリータ・ライトです。ちなみにこれがシリータのデビュー曲。71年にはダイアナ・ロスもレコーディングしています。これに関しては原曲に沿った演奏でありシリータ版にかなり忠実かと思いますが、インストゥルメンタルであり、しかもコージー・パウエルのドラムですからだいぶ感じが変わるのは言わずもがな。
スティービーの「トーキング・ブック」に参加したのも同72年なので、その辺りが所以なのかな?と思っていたのですが調べてみると本作の録音が1月であり、「トーキング・ブック」にてジェフがレコーディングした正確な時期は分かりませんでしたが、発売月からすると(本作5月、トーキング・ブックは10月)スティービーのアルバムに参加するより前の様な気がします。 元々ジェフはモータウン系の音楽が好きであり、実際本バンドを組むにあたりメンバー探しも兼ねてモータウンで数々のセッションをしたと言われています。もっともコージーのドラムがハード過ぎて受け入れられなかったとも語られていますが・・・

A面だけでだいぶ書いてしまいました。B面は次回にて。

#253 Jeff Beck_5

前回第一期ジェフ・ベック・グループから時系列を飛ばしてベック・ボガート & アピスへ話を及ばせたのはこれを集中的に取り上げるため、そう所謂第二期ジェフ・ベック・グループです。

今年に入ってからジェフ・ベックを取り上げ続けていますが、本バンドはジェフのみならず他のメンバーによるプレイも、何よりアルバムのクオリティー自体が傑出しています(惜しくも二枚だけ)。

前作「Beck-Ola」(69年)の黒っぽいフィーリングを更に推し進めてR&B、ソウル、ファンク、ゴスペルと、この頃のジェフによるブラックミュージックへの傾倒ぶりが伺えます。

オープニングナンバー「Got the Feeling」。本作を象徴する様な楽曲でありベストトラックであると思います。コージー・パウエルによるドラムのイントロは技術的に決して高度なものではないのですが、このフィーリングと音色はコージーならではもの。ヴァースの単純な繰り返しがサビにおける解放感をより際立たせており、そしてサビ終盤でのドラマティックな展開(転調かな?)は何百回と聴いていますが見事としか言いようがありません。
A-②「Situation」はイントロだけ聴くとアイク&ティナ・ターナー?と思ってしまう程のソウルテイスト。ヴォーカル ボビー・テンチ(昔はボブ・テンチと表記されていましたね)の参加が本バンドへ寄与したものは計り知れません。もっともそれは他の全員に言える事ですが …
A-④「Max’s Tune」はキーボード マックス・ミドルトンによる楽曲。ミドルトンについてはその後のジェフにおける有名なインストゥルメンタル作品群でも関わる事になりますのでおいおい触れていきます。生ピアノとフェンダーローズによるプレイが素晴らしい。また本曲におけるコージーのドラムはあまり取り上げられませんが、私は彼の違った一面が垣間見えて好きです。とかくツーバスプレイやそのベースドラムの巨大さ(26インチ)などばかりが取りざたされますが、この様なリリカルなドラミングもあるのです。パーカッション的なタムタムのプレイはピンクフロイドのニック・メイスンを彷彿させ、そのシンバルの長い減衰はまるで靄の中で演奏しているような印象を与えます。ちなみに当初の米国盤では「Raynes Park Blues」というタイトルだったそうですが、レインズ・パークとはロンドン郊外のテニスで有名なウィンブルドンの近くとの事。霧の町ロンドンをイメージしたのならまさしくその通り。まあ …
ロンドン … 行ったことないんですけどね・・・

B面は3曲収録。B-②「New Ways / Train Train」が本作におけるハイライトとなっており、ライブでも同様だったそうです。中盤のジェフとコージーの掛け合いが聴きどころであり、まるで侍の一騎打ちの様相です。二人とも英国人ですけどね …
ジェフはドラマーを選ぶセンスが優れていると昔から評されていました。「Blow by Blow」以降はジャズフュージョン畑の超絶テクニックのプレイヤー達とプレイする訳ですが、私はジェフと最も相性が良かったのはコージーだったのでないかと思ってます。コージーはジャズ系のドラマーと比べれば技術的には劣る訳ですが、ワンアンドオンリーのフレーズセンス、音色、そしてグルーヴを有しており、ボンゾと並んで最高のロックドラマーの一人だったと考えています。エンディングのチョーキング一発はジェフの十八番。シンプルでもこれがたまらない・・・・・

激しい果し合いの様な前曲から一気にクールダウンしたエンディングナンバーが「Jody」。と言っても中盤にはフックがありただのバラードでは終わらせません。クライヴ・チャーマンのベースが全編に渡り印象的であり素晴らしい効果をもたらしています。終盤をキーボードソロで締めるアレンジは「Blow by Blow」まで聴くことが出来ます。ジェフがミドルトンを音楽的パートナーとして信頼していた証でしょうか。

前作に引き続き全編においてフェンダー ストラトキャスターが使用されています。レスポールとどちらが好みかは人それぞれですが、相対的にトーンの変化を付ける事に秀でているのはストラトの方かと。なのである時期からジェフはストラトオンリーになったのかもしれません(勿論レスポールのプレイも個人的には好きです)。エフェクター類もファズ、ワウワウ、フェイザー(この頃あったのかな?無ければレスリースピーカー)などおなじみの機材を使用し、ピックアップポジションや言うまでもなくピッキングによるニュアンスの付け方によってまさしくジェフ’sワールドが展開されています。あっ!スライドも多用していますね。ジェフが初期からスライドを結構好んでいたのは既述の事。
その後において一般的に認知されるジェフベックスタイルは本作にてまず確立されたのではないかと思っています。初回に言及した事ですが、シチュエーション毎に最適なトーンを選び出す能力は全ギタリストの中でジェフが最も秀でていたと私は考えています。
本作にあえて苦言を呈するとしたら音質の悪さでしょうか?もう少しクリアな音で聴くことが出来たら …
まっ、それも本作の味わいの一つと思えば良い事ですかね。

#252 Jeff Beck_4

ジェフ・ベックという人が気分屋、わがまま、子供の様にすぐへそを曲げてしまうというのは昔から有名な話でした。スティーヴィー・ワンダーとの間で「迷信」をめぐってジェフがへそを曲げてしまったのは有名な逸話です(#117ご参照)。
バンドやバックメンバーが一定しないのはよく言えば常に新境地を得るために変化を求めている、とすると聞こえは良いのですが、要はジェフの気まぐれ・わがままに皆が呆れて付いて来ない、という事にもなります。どちらかと言えば後者が事実だったのでしょう・・・

ヤードバーズを脱退してジェフが組んだバンドがロッド・スチュワートやロン・ウッドを擁した所謂 ” 第一期ジェフ・ベック・グループ ” 、と普通は述べられるところですが、別にこれが間違っている訳ではないのですけれども、正確に言うとこの間にシングルをレコーディングしています。
私も今回初めて聴きましたが、物珍しいので折角の機会に上げておきます。
「Hi Ho Silver Lining」(67年)はジェフ自身の歌で、コーラスにロッドが参加しており、ベースはレッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズです。全英14位のヒットとなります。

順序が逆になりましたが最初の動画が「Shapes of Things」。1stアルバム「Truth」(68年)のオープニングナンバーはヤードバーズ時代のレパートリーからでした。
これもよく言われる話ですが、ジェフ・ベック・グループはツェッペリンでジミー・ペイジがやろうとしていた事を半年先にレコードで出してしまった、というものです。
ペイジは「先を越された!」と思い、逆にツェッペリンが大成功したのを見てジェフは「ペイジの野郎!俺のマネしやがって!!」と悔しがったとか・・・・・(#13ご参照)
近い所で活動していて、同じ様な音楽に触れていたのなら別にパクリでもなんでもなく、同様の方向性を目指しても何ら不思議ではありません。ペイジの方がよりセンセーショナルにインパクトを持ってその音楽を完成させた故の結果、その一点に尽きます。

2ndアルバム「Beck-Ola」(69年)はブルースに根差したハードロックという前作の路線を踏襲しながらよりファンキーな作風となっています。
英国随一のセッションピアニストであるニッキー・ホプキンスの完全参加が音楽性に幅を広げました。
オープニング曲の「All Shook Up」はエルヴィスのナンバー。本作では「監獄ロック」も演っています。
エンディングの「Rice Pudding」はかなりフリーリーな演奏。故にベックらしさが堪能できます。
結論から言ってしまうと1stより2ndの方が断然良いです。1stはこの様なハードロックを世に出したという先見性は特筆に値するものだと言えますが、今一つ突き抜け切れなかった、という印象です。
2ndのジェフは水を得た魚の様に生き生きしています。それは勿論ロッド達他のメンバーも含めてですが。
本作が第二期ジェフ・ベック・グループの布石になった事は容易に想像出来ます。
ちなみに1stでの使用ギターがレスポール、2ndはストラトキャスターとなっており音色の対比も一興です。

時系列は飛んでしまいますけれども上は有名なベック・ボガート & アピス。このバンドは第二期ジェフ・ベック・グループより後なのですが、実は第一期解散後に組まれるはずだったもの。
ヴァニラ・ファッジで活動していたティム・ボガート(b)とカーマイン・アピス(ds)と共に69年9月にはバンドを結成する話は出来上がっていたのですが、12月にジェフが交通事故を起こしてしまい三年近くに渡ってこのバンドが組まれる事は延期されてしまいました。
メンバー全員が既に名声を得ている所謂 ” スーパーグループ ” というやつですが、正直私はそれほどピンときません。当時のロックバンドとしては非常に高い技量を持ったプレイヤーの集まりなのでリアルタイムで聴いた人達にはかなりのインパクトだったのでしょうが、もっと技術レベルの上がった80年代に追体験した私の世代にとっては一回り上の人達ほどの衝撃はなかったのです。
これは仕方のない事ですね。動画は枕で触れた「Superstition(迷信)」と「Jeff’s Boogie」。
結局「迷信」はレパートリーにしたんですね・・・・・…(*´∀`;)…
ただ幻に終わった2ndアルバムのいくつかのトラックは素晴らしいものです、念のため。

ヤードバーズを脱退したのも、ロッドとロンがジェフの元を離れてフェイセズを結成したのも、ジェフの完璧主義と性格に周りが付いていけなかったからだと永らく言われてきました。
しかし後年になって、ロッド達はインタビューでメディアで伝えられてきたような不仲は無かった、俺たちはあの後もジェフとはうまくいっていたんだ、とコメントしているそうです。
一体真実はどちらなのでしょうか?私が思うに多分どちらも本当の事なんでしょう。
プレス連中がことさらゴシップ的に書き立てるのは昔から相も変わらずですが、あれだけ面子が長続きしなかった客観的事実からしてジェフのコミュニケーションに問題があったのもこれまた真実だったのでしょう。
人間時間が経つと昔のことは美化されがちですし、性格も丸くなります(違う人もいますが … )。
ロッドやロンも年を取って、ジェフもそれほど悪いやつじゃなかっ
たよな、と思えてきたのでは。
” 真実はいつも一つ!!” という子供名探偵が出てくる世界の様にはいかないのです。

こぼれ話として。ブライアン・ジョーンズが亡くなった後のローリング・ストーンズにジェフが誘われたというのは有名な話ですが、実はピンク・フロイドにおいても同様の事が。
初代リーダーであったシド・バレットが精神を病んで脱退せざるを得なかった時、彼らはジェフをスカウトしようとしたのですが誰もその度胸がなかった、とドラマー ニック・メイスンの伝記にあるそうです。
人間関係が長続きしないのに、一方では絶えずラブコールを受ける人物 ………
そういう人っていますよね・・・・・…(*´∀`;)…

#251 Jeff Beck_3

「The Yardbirds」というイギリスのロックバンドの存在は洋楽を聴き始めてた中学生の頃から
知っていました。言うまでもなくそれはエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジの
所謂『ロック三大ギタリスト』を輩出したという理由で特に日本でもよく紹介されていたからです。
インターネットなど無い時代ですからモノの本にそう書いてあれば世界中でそう呼ばれているのだろうと
当然思ってしまいます。後にこの三人だけを特にピックアップして ” 三大~ ” と呼称するのは日本だけで
ある、という事が判明するのはやはりネットのおかげです。つくづくネット時代になってヨカッタ♪

ジェフがヤードバーズに加入して最初のレコーディング(あくまで日付がはっきりしているもので)が
上の「I Ain’t Done Wrong」。65年3月15日とクレジットされています。
前半のソロはいきなりスライドです。あまりイメージに無いのですが意外にジェフはスライドを使います。
ちなみにサムネの画像はアルバム「Having a Rave Up with the Yardbirds」ですが、
本曲が収録されたのはその前作である「For Your Love」です。念のため。
この時期ジェフが使用していたギターはフェンダー・エスクワイヤー。テレキャスターの前進モデルであり、
リアピックアップのみでソリッドな音色はこれに因るものでしょう。「Having a ~」のジャケットで
持っているギターがそれ(殆どキース・レルフに隠れてしまってますが … )。映像で観る事が出来る
ヤードバーズ時代のジェフはレスポールを弾いているものだけであり、エスクワイヤーを弾く動いている
ジェフも観てみたかった・・・・・

ジェフがフィードバック奏法を初めて取り入れたのは何の曲か?どうやら上の二つ辺りの様です。
「Shapes of Things」はシングルカットされ全米11位・全英3位の大ヒット。当時流行した
サイケデリックソングである本曲においてこの奏法によって得られる効果はとても印象的です。
「Stroll On」は「Train Kept A-Rollin’」の別ヴァージョン。ジミー・ペイジとのツインギターで
ある事は有名ですが、「Train ~」よりもこちらの方が断然イイです。

ヤードバーズおいてジェフが全曲を弾いている唯一のアルバムが「Roger the Engineer」(66年)。
サイケソング、ブルース、当たり障りのないポップソングと何でもあり、無いのは節操といった内容の
本アルバムはジェフのプレイが堪能出来る作品です。
「Lost Woman」は前述のフィードバック奏法を更に大胆にフィーチャーした曲。
フィードバックとリフ、そしてかき鳴らされるコードと従来のギターソロとは一線を画する
実験的なスタイルは今聴いても圧倒されます。
もろブルースの「The Nazz Are Blue」は歌もジェフによるもの。しかしながらお世辞にも …
「What Do You Want」。後半におけるギターソロのドラマチックな展開はその後における
ジェフのプレイスタイルの萌芽と言うべきものです。

順序は逆になりましたが一番上の動画が「Jeff’s Boogie」。” ジェフ節 ” が満載の本曲は
初期における名演とされ過去から現在までジェフのプレイを語るうえで欠かせない曲です。
元ネタはチャック・ベリー「Guitar Boogie」。よく訴えられなかったこと …
ハンマリング&プリングによるトリルの連続、ハーモニックス、その後は当たり前に
なりますが60年代中期ではまだ珍しかったマルチトラックによるギターの多重録音や
エフェクター類の多様など、列挙すればキリがありませんがその辺りはまた別の機会に。

革新的なギタープレイ及びスタイルを確立した存在としてジミ・ヘンドリックスも共に挙げられます。
本作ではジミの影響を受けたのかな?などと今まで漠然と考えていたのですが、今回よく調べてみると
本作の録音は66年4~6月でジミが渡英したのは同年9月。ジミはロンドンに移ってすぐ活動を
始めていますが、それでも本アルバム制作よりは後の事でした(#43ご参照)。
共時性(シンクロニシティ)と言うのでしょうか、変革期・パラダイムシフトが起こるときには
全く接点が無いにも関わらず同じような事を考え、行う人々が現れるそうです。
ちなみにジェフはジミの英初ライヴを観に行っています。クイーンズゲートにある小さな地下のクラブ
だったそうですが、その演奏を聴いて ” あぁ、今の俺はギタリストなんかじゃないな ” と思ったとか …
その後親しくなりジェフ・ベック・グループでN.Y. のライヴハウスに出演していた頃には殆ど毎晩の様に
ジミが参加していたとの事。ある時はジミがギターを持ってきておらず、ジェフのギターをジミが弾いて
ジェフはベースを演ったとか。ロックファンには夢の様な空間 … 残念ながら音源等は無いようですけど。

#250 Jeff Beck_2

ジェフ・ベックの一番古い音源は何だろう?先ずはそう思いつきました。
ヤードバーズ加入前にあるバンドで活動していたというのは昔モノの本で読んだ記憶がありましたが、
ググってみると「The Tridents」というバンドとの事。ネット時代はイイですね。

91年にリリースされた三枚組のベストアルバム「Beckology」にその頃の録音が3曲収録されています。
「Wandering Man Blues」と「Trouble in Mind」がメドレーになっているのが上の動画です。
前者はオリジナルですがド直球のブルース。トリルの連続はこの頃から十八番だったようです。
後者もブルースのスタンダードナンバーですがこちらは1920年代の曲でサッチモも取り上げたとか。
ジェフがペダルスチールを演るとは聴いたことが無いのでスライド(ボトルネック)でしょうね。
後年結成されたハニードリッパーズの音楽的志向(嗜好)はこの辺りにあったのかな?とも感じられます。
でもあれはロバート・プラント主導でジェフは付き合わされた感が … まあイイか・・・

ライヴ音源の「Nursery Rhyme」。ボ・ディドリーによる所謂ジャングルビートの本ナンバーは、
少年期にR&Rの洗礼を受けたジェフにとって原点の様な音楽だったでしょう。
そのプレイたるや … この時から既にジェフ・ベックです(当たり前だ・・・・・)。
言葉が足りませんでしたね。この頃から後における彼のプレイスタイルがかなり垣間見えるという
意味においてです。
私はボクシングに例えるとエリック・クラプトンがオーソドックススタイル、ジェフは変則ファイターだと
勝手に思っています。ちょっとまて!「悲しみの恋人達」における泣きのギターは王道だろ!!
などと反論はごもっとも。あれもジェフのプレイの一つです。
クラプトンはカントリーテイストを取り入れたりした時期もありましたが、根っこはあくまでブルース。
奇をてらったりせずにひたすらブルースを追求しています。
一方ジェフはマイナーペンタトニックスケールを基調としたブルース及びR&Rが軸にある事は
間違いないのですが、音楽性は様々で、というかあまりこだわりは無くその時その時でイイと
思ったものを演っているだけの様な気がします。ハードロック、ソウル・R&B、フュージョンetc…
要は自分がギターで表現できる ” 声 ” をひたすら追求するまさにギター職人であり、
音楽性はその為のあくまでプラットフォームに過ぎないのです(ただの気まぐれ屋とも言えますが … )。
その為奏法も従来通りのものでは飽き足らず、トリッキーな変則奏法と呼ばれるテクニックや、
フィードバック奏法に代表される機材の特性(良くない面の)まで利用した音を模索していったのです。
これはジミ・ヘンドリックスと同じベクトルであったでしょう。まあジェフはステージでギターを
壊したり燃やしたりはしませんでしたけど・・・・・
前回取り上げた「Goodbye Pork Pie Hat」における多彩な音色の変化、それはピックアップ位置や
エフェクター、そして勿論ピッキングのニュアンスなどに因るものですが、まるで歌い手が場面場面で
声のトーンや発声を微妙に七変化させるが如く、そのフレーズごとにジェフが出したいと思った ” 声 ” を
表現する為の結果だったのです。これほどまでトーンにこだわったギタリストはジェフをおいて
他にはいません。それはジェフにとってギターは自分の ” 喉 ” つまり ” 声 ” だったからです。